2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01304
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
太田 道広 室蘭工業大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 希土類硫化物 / 熱電材料 / 電気・電子材料 / 硫化反応 / 機能性セラミックス |
Research Abstract |
1.チオシアン酸アンモニウム(NH_4CNS)を用いた希土類硫化物の合成 昨年度までは、二硫化炭素と希土類酸化物を反応させることによって、希土類硫化物を合成していた。この方法は、大きなギブスエネルギー利得のため低温・短時間の合成が可能である一方、二硫化炭素の分解に起因した炭素が、不純物として合成粉末に残留する問題を抱えていた。そこで、本年度は、ニコラエフ無機化学研究所(ロシア)との共同研究として、チオシアン酸アンモニウムを用いた新しい合成手法の開発を試みた。チオシアン酸アンモニウムを200℃で熱したときに放出したガスと、希土類酸化物を反応させることにより、不純物炭素をほとんど含有しない高純度希土類硫化物の合成に成功した。TG(示差熱天秤)-MS(質量分析計)分析によると、チオシアン酸アンモニウムは、150℃くらいの温度から、強い硫化作用を有する二硫化炭素と硫化水素ガスのほかに、アンモニアガスを放出することがわかった。アンモニアガスの優れた脱炭効果により、試料の高純度化が促進したものと考えられる。 2.二硫化炭素(CS_2)ガス硫化法によるLn_2S_3(Ln=Gd,Dy)の作製とその熱電特性 新規熱電材料の探索を目的として、Gd2S3とDy2S3の作製と特性向上を行った。これらの酸化物Ln_2O_3粉末を、1248Kの温度で、二硫化炭素と反応させることによって、斜方晶の結晶構造を有するLn_2S_3の粉末を合成した。この粉末を、1450K程度の温度で加圧焼結すると、緻密な焼結体を得ることができることを見出した。その際、結晶構造は立方晶へと相変態していた。さらに、Ln_2S_3合成粉末とLnH_3を混合した粉末を加圧反応焼結することにより、硫黄欠損の試料を作製することにも成功した。硫黄を欠損させることにより、キャリア濃度が増加し、立方晶Ln_2S_3焼結体の熱電特性が劇的に向上した。
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Research Products
(6 results)