2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01308
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
西鳥羽 恵美 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バクテリア / べん毛 / レーザー暗視野顕微鏡 / 推進効率 |
Research Abstract |
バクテリアは、らせん型のべん毛を持ち、それを船のスクリューのように回転させながら水中を泳ぎ回る。べん毛の発生する推進力により、バクテリアは水中を泳ぐ。べん毛繊維はflagellinというタンパク質で出来ていて、スクリューの素材にしては、柔らかすぎるのではないか、遊泳中に変形してスクリューとしての効率に影響しているのではないか、という疑問が生じる。 このような素朴な疑問に答えるために、べん毛モーターの回転数を計測するために開発されたレーザー暗視野顕微鏡を応用して、ビブリオ菌のべん毛が、遊泳速度や、べん毛回転数とともにどの程度変形するかを観測した。その結果、菌が前進する時はべん毛らせんのピッチ(周期)が小さくなり、後退する時は大きくなることがわかった。変化率は、遊泳速度が100μm/sのときに約3%であった。一方、らせん半径は誤差と比較して変化が小さく、運動に伴って変化したかどうか判定するのは難しかった。この実験結果からべん毛の形状の変化による推進効率の変化を見積もると、前進時2%小さくなり、後退時4%大きくなる程度であった。べん毛の変形によるバクテリアの推進効率への影響は小さく、べん毛の推進器としての性能は、安定していると考えられる。 本研究の対象であるバクテリアのべん毛は、サイズが小さく高速で動くため、その運動パラメータの計測は困難で、流体力学の研究者により理論的に解析されることが多かったが、今回、運動中のべん毛の変形の計測方法を確立することに成功した。 一方、高分子を加えた水溶液中で、粘度が上がったのに、バクテリアの遊泳速度が上昇するという奇妙な現象が知られている。この原因を調べるために、遊泳速度とべん毛回転数の関係を、レーザー暗視野顕微鏡を使って調べる実験も開始した。これまでに、高分子添加により、べん毛の推進効率が上昇することを示唆するデータが得られ始めている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Takano, K.Yoshida, S.Kudo, M.Nishitoba, Y.Magariyama: "Analysis of small deformation of Helical flagellum of swimming Vibrio alginolyticus"JSME International J.. C46. 1241-1247 (2003)