2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパラン硫酸の特異的硫酸化による細胞間シグナル系の調節機構
Project/Area Number |
03J01321
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
神村 圭亮 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヘパラン硫酸 / 硫酸転移酵素 / ショウジョウバエ / シグナル伝達 / 発生 |
Research Abstract |
ヘパラン硫酸プロテオグリカンは、細胞膜表面や細胞外マトリックスの主要な構成成分として広く生体内に分布し、細胞増殖因子や細胞接着因子など、極めて多様な分子と相互作用することにより、様々な生物学的活性を示す。この多彩な機能は、「異なる硫酸化パターンを持つヘパラン硫酸が、それぞれ異なるタンパク質と結合し、シグナルの特異性を決定する。」ことから生じると考えられている。異なる部位の硫酸化は、それぞれ異なるヘパラン硫酸硫酸転移酵素(N,2-O,6-O,3-O硫酸転移酵素)により触媒される。しかしヘパラン硫酸に関するこれまでの解析はin vitroの研究が主流を占めていたため、個体発生における機能に関しては未だはっきりしていない。そこで私は遺伝学的手法が有効なショウジョウバエを用いて3-O硫酸転移酵素に注目し機能解析をおこなった。ショウジョウバエ3-O硫酸転移酵素(dHS3ST)の発生における機能を明らかにするために、トランスジェニックRNAi法を用いて機能阻害実験を行った。dHS3STトランスジェニックRNAi個体は、様々な末梢感覚器の増加、太い翅脈の形成、翅縁の欠失等の多くの表現型を示した。これらの異常はNotchシグナル系の変異体が示すものと非常に類似しているため、dHS3ST遺伝子とNotchシグナル系の関係に焦点を当てひきつづき実験をおこなった。dHS3STトランスジェニックRNAiは、翅原基におけるNotch標的遺伝子群の発現を完全に抑制した。またdHS3STトランスジェニックRNAiはNotchの転写活性には影響しないにも関わらず、Notch蛋白質レベルを著しく減少させる。以上の結果から、dHS3STはNotch蛋白質の機能に密接に関与することが示唆された。
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