2003 Fiscal Year Annual Research Report
中山間地域における有機性資源の持続的な循環管理システムの構築
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03J01325
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Research Institution | National Institute for Rural Engineering |
Principal Investigator |
清水 夏樹 独立行政法人農業工学研究所, 地域資源部・資源循環研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | 有機性資源 / 資源循環管理システム / 堆肥化利用 / 堆肥製造コスト / 有機農産物 |
Research Abstract |
本年度はまず、有機性資源の循環管理に関する知見を整理し、実態・課題を把握した。農村由来の有機性資源に関しては堆肥化利用を前提とした研究が多く、現場でも一般的であるため、該当する既往の知見を(ア)堆肥原料の発生部門、(イ)堆肥製造及び流通部門、(ウ)堆肥利用部門に大別して整理した。各部門で共通した課題として(1)部門間の連関性を考慮したアプローチがほとんど見られないこと、(2)個別事例に基づく分析が主であり、有機性資源の循環利用モデルの一般化には至っていないことが明らかとなった。 次に、有機性資源の循環における阻害要因を抽出するため、既存のアンケート調査結果を統計的手法により解析し、堆肥製造コスト及び堆肥販売価格を規定する要因を明らかにした。その結果、製造コスト・堆肥販売価格の高い堆肥化施設は市町村・第3セクター・民間企業により運営され、堆肥の投入先がゴルフ場その他、堆肥肥効の実証農場がある等の条件の影響が強く、製造コスト・堆肥販売価格を安価に提供している堆肥化施設は、廃棄物受入手数料が安い、畜産農家自らが原料を収集運搬、堆肥の投入先が牧草地などの条件を持つことがわかった。また、堆肥化利用の促進要因として「有機農産物としての販売がある」ことが条件の一つと考え、アンケート調査より「有機農産物としての販売の有無」と有意に関連性をもつ変数を抽出した。その結果、堆肥の品質基準や肥効の実証がなければ、有機農産物栽培と結びつきにくいことがわかった。 第3に、有機性資源発生地条件(都市近郊部/農村部)と、有機性資源の発生-処理条件(資源発生地点での分散処理/収集による集中処理)に着目して全国市町村をタイプ分けし、タイプごとに各地の事例を収集した。これらの中から、有機性資源の循環システムに係わる主体の役割に関して特徴的な栃木県、山形県、兵庫県等の事例の調査を開始した。
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