2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期日本・東アジアの経済制度比較-雑貨製造業と商人ネットワークを中心に-
Project/Area Number |
03J01345
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
四方田 雅史 国際日本文化研究センター, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 花莚 / メリヤス製造業 / 粗製濫造 / 同業者組織 / 検査制度 / 日本 / 中国 / 台湾 |
Research Abstract |
平成16年度は、論文を2本作成し、学会報告を1回行った。第一に、昨年研究を進めていた花莚製造業に関する論文を、『日本研究』に掲載し、レフェリーを始め、さまざまな研究者からコメントをいただくことができた。その論文によって、日本と中国の産地における制度の違いの重要性を再確認することができた。第二に、同じく昨年研究を進めてきたメリヤス製造業に関する論文も、執筆を終え、経営史学会に投稿した。現在のところ、レフェリーによる審査の結果を待っているところである。第三に、広島で開催された日本経済思想史研究会全国大会において、「粗製濫造」と同業者組織に関する報告を行い、その場でさまざまな方から有益なコメント・批判をいただくことができた。特に、戦前日本で一貫して問題視された「粗製濫造」という課題について、その制度との関連を視野に入れつつ分析できたことは、平成16年度の重要な成果であった。そして、現在のところ、それをまとめ、論文を公刊するとともに、それを含めた博士論文をまとめたところである。 また、新たな研究としては、雑貨製造業を支える制度の一つとして輸移出品検査に着目して、研究を進めている。最初にかつ広範に日本に導入された後、植民地を始めアジアに広がっていった輸移出品検査制度が、各地域の背景の中でそれぞれ異なる成果を挙げていたことが、これまでの研究から分かってきた。これにより、研究上の知見が新たに得られることを期待している。平成17年度は、この検査制度に関しても何らかの成果を得て、学会報告・論文などを通じ、成果を公表することを予定している。そのため、平成16年度も、史料調査を目的として、中国と台湾に赴き、当該地域における史料の蒐集に努めた。特に台湾の史料所蔵状況を、より仔細に見ることができたことも、平成16年度の大きな成果であった。
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Research Products
(2 results)