2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01356
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
古川 純 岡山大学, 資源生物科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | アルミニウム / 有機酸分泌 / トランスポーター / ライムギ / オオムギ |
Research Abstract |
VDAC破壊株を用いたクエン酸分泌機構の解析 昨年度の解析においてライムギ根端でAlにより誘導される9種の膜タンパク質を同定した。このうちVDAC(Voltage-dependent Anion Channel)に着目し、相同遺伝子の領域にトランスポゾンが挿入されているシロイヌナズナタグラインを用いた解析を行った。シロイヌナズナVDAC破壊株ではAl無処理条件において野生株の約2倍のクエン酸が分泌されており、また細胞内クエン酸濃度も約1.5倍に上昇していた。シロイヌナズナには7種のVDACホモログが存在しており、破壊されたVDACの機能を他のアイソザイムが補ったためであると考えられ、VDACが有機酸の代謝ならびに分泌に影響を与える可能性が示された。 Al耐性および感受性オオムギの根端における網羅的遺伝子発現解析 オオムギはAl耐性において大きな品種間差があり、また耐性と根から分泌されるクエン酸の量には強い相関がある。このクエン酸分泌機構を明らかにするためにAl耐性種と感受性種を用いたマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行った。解析にはBarleyl genechipを用いた。Alにより2倍以上の発現誘導が見られた遺伝子は耐性種、感受性種でそれぞれ149、211遺伝子であった。誘導された遺伝子の多くはストレス応答に関与しており、耐性種ではタンパク質分解に関連する遺伝子の増加が、感受性種においてはABCトランスポーターの誘導が特徴的であった。有機酸代謝の関連遺伝子は耐性種において誘導が認められず、転写レベルでの耐性機構には関与していないと考えられた。また耐性種においては複数の輸送体タンパク質が感受性種に対し恒常的に高い発現を示しており、現在これらの輸送体遺伝子の機能について解析を進めている。
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Research Products
(3 results)