2004 Fiscal Year Annual Research Report
ポリアミン生合成酵素遺伝子の改変による低温耐性及び果実日持ち性の付与
Project/Area Number |
03J01388
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
北柴 大泰 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 果樹研究所・生理機能部, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポリアミン / スペルミン合成酵素 / リンゴ / 低温耐性 / 日持ち性 / ACL5 / SPMS |
Research Abstract |
本研究はポリアミン生合成酵素遺伝子の制御により、低温耐性や日持ち性を植物に付与し、持続的果樹栽培を可能とする新技術の開発を目的としている。そこで初年度から、リンゴでこれまで未単離であったスペルミン(Spm)合成酵素遺伝子の解析を始め、初年度はその遺伝子(昨年度はMdSPMSと名付けたが、MdACL5と改名)の単離・解析を重点的に行った。その間、シロイヌナズナで新規スペルミン合成酵素遺伝子が報告された。そこで本年度は、リンゴからもこの新タイプの遺伝子(SPMS)を単離し、MdACL5との比較・検討を試みた。 初めにRT-PCR法、さらに5-RACEおよび3-RACE法によりリンゴからSPMS遺伝子の相同遺伝子を単離し、これをMdSPMSと名付けた。また、機能解析によりMdSPMSはMdACL5と同様にSpm合成能を有することが明らかになった。MdSPMSのリンゴにおける発現解析の結果、果実の発育の初期及び後期で強い発現が認められ、また増殖カルスでは増殖初期に発現が強いことが分かり、それらの時期との関係が深いことが示された。これらの発現パターンはMdACL5とは大きく異なっていた。 昨年・今年度の解析から、 1.リンゴにも2つのタイプのSpm合成酵素存在し、シロイヌナズナとの報告と合わせると、植物界に広く2つのタイプの存在が示唆 2.果実の発育過程においてMdACL5は極初期の分裂期に、MdSPMSは肥大期、成熟期に大きく関与2.果実の発育過程においてMdACL5は極初期の分裂期に、MdSPMSは肥大期、成熟期に大きく関与 3.MdACL5は分化方向が決定した細胞の分裂に働く ことが推測された。 以上今年度までの研究により、Spm合成を利用した果実形質の改変に際し、発育初期、肥大期、成熟期をどちらの遺伝子で制御し研究を進めるべきか目処をつけることができた。なお、果実をつける植物で2つのSpm合成酵素遺伝子を比較・解析したのは本研究が初であり、以上を纏めた論文を投稿し、現在審査をうけている。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Molecular cloning and functional characterization of two apple S-adenosylmethionine decarboxylase genes and their different expression in fruit development, cell growth and stress responses.2005
Author(s)
Hao, Y.-J., Zhang, Z., Kitashiba, H., Honda, C., Ubi, B., Kita, M., Moriguchi, T.
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Journal Title
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