2003 Fiscal Year Annual Research Report
MFレーダー電子密度観測を中心とした中間圏・下部熱圏変動の研究
Project/Area Number |
03J01423
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
川村 誠治 独立行政法人通信総合研究所, 電磁波計測部門・北極域国際共同研究グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | MFレーダー / 電子密度 / 中間圏・下部熱圏 / 電離圏D領域 / 大気重力波 / 差分吸収法 |
Research Abstract |
1.MFレーダーによる電子密度推定手法(差分吸収法:DAE)の検証 アラスカ・ポーカーフラットMFレーダーで推定された電子密度を、同時間・同地点で観測されたイメージングリオメーターによる銀河雑音吸収(CNA)と比較した。CNAは主に電離圏D領域の電子密度を反映した量と考えられる。比較の結果、高度によって変動パターンが一致する場合と一致しない場合があり、DAEによる電子密度推定に用いられている仮定に高度方向の制限がある可能性が示唆された。2004年1月に内之浦宇宙センターから観測用ロケットが打ち上げられ、山川MFレーダーとの同時観測が実現した。DAEの検証を進めるため、ロケットとMFレーダーによる電子密度の比較を目指して解析を進めている。 2.電離圏D領域における電子密度変動と大気重力波の関係 過去いくつかの観測で発見されている電離圏D領域の高度約80kmに見られる電子密度の周期的変動は、背景の中性大気変動などでは説明できないほど変動成分が大きく、これまで物理的な解釈が十分に行われていない。アラスカ・ポーカーフラットMFレーダーで観測された周期約2時間、背景電子密度に対して約60%にもなる電子密度変動について解析を行った結果、電子密度、MFレーダーで同時に観測された風速に共通して大気重力波が見つかった。さらに、この領域の正イオン化学反応を考慮し、化学反応係数が温度変化に敏感であることを考えると、この大気重力波によって作られる5%程度の大気温度の変動が観測される電子密度変動を定量的にも良く説明し得ることが示された。 3.上部熱圏及び中間圏・下部熱圏(MLT)領域の地磁気擾乱時の振る舞い 地磁気擾乱発生時に信楽MUレーダーによって電離圏F領域とMLT領域の同時観測が行われた。稚内MFレーダーも同時観測を行っており、これらレーダーと全天カメラ、GPSによる全電子数(TEC)観測を組み合わせて、地磁気擾乱時の熱圏及びMLT領域の風系の変化、電子密度変動を明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Shiokawa: "Thermospheric wind during a storm-time large-scale traveling ionospheric disturbance"Journal of Geophysical Research. 108,A12. doi:10.1029/2003JA010001 (2003)
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[Publications] N.Balan: "Simultaneous MLT and thermospheric F region observations during geomagnetic storms"Journal of Geophysical Research. 109(In print). (2004)