2003 Fiscal Year Annual Research Report
秦漢時代から六朝時代にかけての官僚機構運営の諸側面とその変遷
Project/Area Number |
03J01434
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
米田 健志 大谷大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 秦漢時代 / 官僚制度 / 九卿 / 三公 / 人事運営 |
Research Abstract |
漢代の中央政府を構成する、いわゆる九卿(太常・光禄勲・衛尉・太僕・廷尉・大鴻臚・宗正・大司農・少府・執金吾)に就任した者の履歴について、『漢書』・『後漢書』の列伝の記載をもとに分析を行い、その結果、前漢と後漢とでは九卿の人事・登用に関して、おおよそ次のような傾向の相違が認められた。 (1)祭祀を掌る太常は、前漢では列侯が就任するべき官とされており、太常就任以前に他の九卿を経験した者はほとんどいなかったが、後漢では、必ずしも列侯であることを要さず、また、他の九卿をいくつか経たのち就任する官となった。これは、九卿中の序列における太常の首位が固定してゆく傾向を示している。これを裏付ける事実として、太常を経たのち宰相たる三公へと昇進してゆく者は、前漢では皆無であるのに対して、後漢では半数以上にのぼることが指摘できる。 (2)少府は、前漢では国家財政に匹敵する規模を有する帝室財政を主管していたが、後漢では単なる宮中庶務を担当するのみへと権限が縮小された。このためか、少府を経たのち三公に昇進してゆく者は、前漢に比較して後漢では圧倒的に少数になる。 (3)司法をつかさどる廷尉は、法律に精通せねばならばいという、その専門性の高さ故か、前漢・後漢をつうじて他の九卿を経験することが比較的少ない。また、九卿の中でもとりわけ長期間にわたって在任する事例が多い。 (4)皇族管理にあたる宗正は、例外なく帝室の一員たる劉氏が就任するが、前漢では宗正から三公に昇進する者が皆無であるのに対して、後漢ではそれが現れるようになる。これは、前漢に比して後漢では、皇帝の外戚がより多くの実権を握るようになったことと、何らかの関係があると推測できる。今後、一層の分析を必要とする
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Research Products
(2 results)