2003 Fiscal Year Annual Research Report
秦漢帝国支配下の地域社会-紀元前3世紀末〜紀元後3世紀初頭の社会生活史の観点から-
Project/Area Number |
03J01444
|
Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
高村 武幸 財団法人東洋文庫, 研究部・特別研究員(P・D・)
|
Keywords | 中国古代史 / 地域社会 / 生活史 / 簡牘学 / 古文書学 |
Research Abstract |
今年度は、研究書・中国簡牘発掘報告書類を多数収集するとともに、中国簡牘(居延漢簡・張家山漢簡)カード3750枚を作成し、研究基盤の整備を進めた。簡牘カードについては、電子データ化も視野に作成を進めている。 こうした基盤の上に、次のような研究成果をあげることが出来た。研究論文としては、「漢代官吏任用における財産資格の再検討」『史林』(平成16年3月現在審査中)、「漢代の材官・騎士の身分について」『日本秦漢史学会会報』(平成16年3月現在審査中)の2編を執筆した。これらは上記研究課題に沿い、中国秦漢時代の地域社会において重要な役割を果たした地方官吏について考察を加えたもので、特に、彼らの採用の基準や資格を重点的に、新出出土資料を用いながら明らかにした。ほか、簡牘の訳注として、「里耶秦簡訳注」中国出土資料学会『中国出土資料研究』8号(平成16年7月刊行予定、「里耶秦簡講読会」編で他6名と共同執筆)を完成させた。これは、中国湖南省で2003年6月に出土したばかりの秦代公文書簡牘に訳注を施したもので、秦の始皇帝による統一前後の中国古代地域社会の実情や、行政システムの解明を進め、多くの新たな知見を得た。 また、京都での東洋史研究会に出席し、多くの研究者から貴重な研究状況を教示いただくとともに、京都大学人文科学研究所で資料を収集した。その際に、関西の中国古代史研究者が一堂に会し、(財)東洋文庫の簡牘研究会と並んで国内最高の水準である、京都大学での簡牘講読会への参加を打診し、今後同会へ参加する機会を得られた。 さらに、中国の古代遺跡や遺物の状況に関する情報を徹底的に収集し、来年度の現地調査に備えた。特に、秦漢帝国の首都所在地で、重要遺跡が多い陜西省西安周辺と、貴重な簡牘が多数発見された湖北省荊州周辺の、遺跡発掘現場並びに出土遺物の整理・収蔵状況を重点的に情報収集し、成果を上げることが出来た。
|
Research Products
(1 results)