2005 Fiscal Year Annual Research Report
秦漢帝国支配下の地域社会-紀元前3世紀末〜紀元3世紀初頭の社会生活史の視点から
Project/Area Number |
03J01444
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
高村 武幸 (財)東洋文庫, 研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国古代史 / 地域社会 / 生活史 / 簡牘学 / 古文書学 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に引き続き京都大学人文科学研究所における簡牘講読会へ出席し、同研究所の持つ中国辺境出土簡牘を用いた歴史研究の極めて優れた方法論を学ぶことが出来た。十一月には、台湾・中央研究院歴史語言研究所に赴き、研究所所蔵の居延漢簡の実物を調査し実測図を多数作成するとともに、特に許可されて中央研究院における簡牘をはじめとする各種史料データベース作成の作業を実見することが出来た。その他の出土遺物、特に古代青銅器についても様々な知見を得ることが出来、研究に寄与する成果を得られた。 同時に関連する研究書・報告書の収集を行ない、中国簡牘のカード化を続行、居延漢簡についてもほぼ8000枚を達成すると共に、新出のエチナ漢簡500枚を含め、6500枚をデータベース化することが出来た。 このような基盤の上にたち、今年度は成果として次のような研究論文を発表した。 (1)「漢代地方少吏の任用と文字の知識について」『東方学』111 (2)「前漢河西地域の社会-辺境防衛組織との関わりを中心に-」『史学雑誌』115-3 (3)「漢代辺境における監察の実態について」(投稿予定) (4)「秦・漢初の郷」(投稿予定) (1)・(2)は昨年度投稿予定のものがいずれも採用・発表が決定したもので、(1)は官吏となるために必要な文字知識の水準を、(2)は漢代辺境の移民社会の実態をそれぞれ明らかにした。(3)は中国古代における官僚組織内部の監察の実態を探ったもの。(4)は中国古代の在地共同体の存在を巡る議論の中で重視される郷という行政組織について論じた。
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Research Products
(2 results)