2003 Fiscal Year Annual Research Report
鋤鼻神経細胞株を用いた検定系による哺乳類フェロモン分子の探索
Project/Area Number |
03J01461
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
若林 嘉浩 財団法人東京都医学研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 鋤鼻器 / フェロモン / 7回膜貫通型受容体 / 嗅覚系 / 鋤鼻神経 / 副嗅球 / Notchシグナル |
Research Abstract |
本研究の目的は、マウス鋤鼻神経を培養し、カルシウムイメージングによりフェロモン分子を同定する生物検定系の確立である。これまで、フェロモンに対する鋤鼻ニューロンの反応を再現できるin vitro検定系は確立されておらず、簡便な検定系の確立が望まれている。 1.マウス鋤鼻神経細胞株の培養 本研究では、フェロモン検定に用いる鋤鼻ニューロンの調整が困難であるため、細胞株の確立を行った。マウス鋤鼻器を取り出し、酵素処理で分離した細胞に、温度感受性large-T antigen遺伝子を組み込んだレトロウィルスを感染させ、細胞を不死化させた。数週間後にコロニーを形成した細胞を単離し、分化を誘導した。生体の成熟鋤鼻ニューロンが発現する遺伝子(OMP)およびフェロモンシグナル伝達系に関与する遺伝子群(G alpha i2,TRP2等)の発現を解析した。その結果、今回同定したクローンには、これらの遺伝子群の発現は見られなかった。このことから、レトロウィルスを感染させる細胞の検討を詳細に行う必要がある。 2.マウス鋤鼻ニューロンの細胞膜抗原の探索 レトロウィルスは、細胞分裂途中の染色体に組み込まれる。成熟個体のマウス鋤鼻器では、分裂細胞数は極めて少ない。しかしながら、鋤鼻神経細胞の軸索投射先である副嗅球を除去してしまうと、鋤鼻神経は変性し、一時的にニューロン数は減少する。その後、鋤鼻ニューロンの分裂が盛んに起こることが知られている。この時期の鋤鼻器を用いて、分裂細胞を特異的に単離する系の確立を試みている。単離法には、細胞膜上に存在する膜抗原に対する抗体を用いる。細胞の分化誘導時に発現するNotch1およびDelt1が、副嗅球除去後の鋤鼻器において顕著に発現することを、in situ hybridizationで明らかにした。これらの遺伝子の発現部位は、BrdU陽性細胞の分布と一致しているため、Notch1,Delta1を発現する細胞は、鋤鼻器において分裂細胞特異的に発現する可能性が高いことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 若林嘉浩, 市川眞澄: "鋤鼻器におけるフェロモン分子の受容"医学のあゆみ. 205・12. 939-940 (2003)
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[Publications] Takigami S, Wakabayashi Y et al.: "Fetal development of vomeronasal system in the goat"Developmental Brain Research. in press. (2004)
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[Publications] Hagino-Yamagishi K, Wakabayashi Y et al.: "Expression of vomeronasal receptor genes in Xenopus laevis"J. Comparative Neurology. in press. (2004)