2005 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病モデルを用いて大脳皮質-大脳基底核ループの運動制御機構を解明する
Project/Area Number |
03J01463
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
金田 勝幸 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助手
|
Keywords | 大脳基底核 / パーキンソン病 / 淡蒼球 / 代謝調節型グルタミン酸受容体 / ドーパミンニューロン / 運動制御機構 / 電気生理学 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
淡蒼球外節は線条体と淡蒼球自身からGABAによる抑制性入力を受けている。淡蒼球にはGABA_B受容体が豊富に発現しているが、シナプス性に遊離されたGABAがGABA_B受容体を活性化しうるのかどうかは不明であった。そこで、ラット脳スライス標本を用いて淡蒼球ニューロンからホールセルパッチクランプ記録を行うことにより、この点を明らかにすることを試みた。淡蒼球内部あるいは線条体をグルタミン酸受容体ブロッカー存在下で単発電気刺激すると、GABA_A受容体を介した早い抑制性シナプス後電位(IPSPs)のみが誘発されたのに対し、50Hz、20発の連続刺激を与えると速いIPSPsに続く遅いIPSPsが観察された。この遅いIPSPsはGABA_B受容体の特異的なアンタゴニストで完全にブロックされた。この結果は、連続刺激によりシナプス性に遊離されたGABAがシナプス後膜に存在するGABA_B受容体を刺激することにより淡蒼球ニューロンの活動を抑制することを示唆している。一方、シナプス後性のGABA_Bの効果を遮断した条件下で、連続刺激により誘発されるGABA_A受容体を介する速いIPSPsに対するGABA_Bアンタゴニストの効果を調べたところ、アンタゴニストの投与により速いIPSPsのアンプリチュードは有意に増大した。この結果はシナプス前膜に存在するGABA_B受容体の刺激によりGABAの遊離が抑制されていることを示唆している。以上の結果は、淡蒼球ニューロンの発火レベルとパターンがシナプス前膜および後膜に存在するGABA_B受容体により制御されていることを示唆している。
|