2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01490
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
池田 敦 国立極地研究所, 研究教育系, 特別研究員(PD)
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Keywords | 岩石氷河 / 永久凍土 / 岸壁 / 地温 / ブルックス山脈 / アラスカ山脈 / スイスアルプス |
Research Abstract |
岩石氷河の発達に岩屑供給条件と温度条件がどのように寄与するか明らかにするために、高緯度の岩石氷河を中心に中緯度の岩石氷河も比較対象とした研究を行っている。より高緯度ほど岩石氷河内の永久凍土が低温で,温度条件よりも岩屑供給条件が岩石氷河の挙動を支配するという仮説の検証が日的である。第二年度はアラスカ山脈・スイスアルプス・日本アルプスの温度条件データを収集、比較し、またアラスカ山脈の他、北極圏内のブルックス山脈にも新規に温度測器を設置した。また10月末よりアラスカ大学フェアバンクス校に滞在し、アラスカの沿岸(チュガッチ)、アラスカ、ブルックスの各山脈で積雪状況を調査するとともに、現地での情報収集・人脈拡大に努めた。いずれの山地でも岩石氷河は明瞭な岩壁を有す凹型斜面(主に晩氷期後解氷のカール・小規模なU字谷)によく発達し、各地域ごとに岩壁規模と岩石氷河規模には正の相関関係が見られた。この結果は,高緯度・中緯度を問わず,岩石氷河の挙動は岩屑供給量の多寡の影響を受けることを示す。一方、アラスカ山脈で測定された岩石氷河上の地温は、気温より予想されたものより高く、スイスアルプス同様、永久凍土の温度は高いと予想された。これはアラスカ山脈では高緯度・内陸という条件により積雪量が少なく雪解けが早く、5・6月の地表面温度が高いためであった。1月の調査でブルックス山脈でも積雪がスイスアルプスに比べ少ないことが明らかとなったが、より寒冷な北極圏内において積雪の多寡が地温にどう影響するか次年度、測器のデータを回収して確認する予定である。また、予定していた物理探査は調査時悪天につき断念したため次年度に持ち越しとなった。現在、スイスアルプスで得られた物理探査データより岩石氷河氷の残雪起源を論じた論文を投稿中であり、寡雪環境下にあるアラスカ山脈での物理探査データとの比較からさらに議論を進める予定である。
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Research Products
(3 results)