2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルタイ山脈および富士山の山岳永久凍土帯での斜面変動
Project/Area Number |
03J01492
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
福井 幸太郎 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 地球温暖化 / アルタイ山脈 / 永久凍土 / 岩石氷河 / 空中写真 / Landsat-TM / ロシア共和国 |
Research Abstract |
1.目的 アルタイ山脈はモンゴル西部からシベリア南部にかけて1000km以上も延びている長大な山脈である.本研究では過去30年間に温暖化が顕著に進行しているアルタイ山脈の岩石氷河周辺でどのような地形変化が生じているのか明らかにすることを目的とする.本年度はロシア・アルタイ山脈南チュイスキー山地中央部Akkol谷(標高2200〜3700m)で岩石氷河周辺の湧水のマッピングと水温の観測を行った.また1980年撮影の空中写真と2000年撮影のLandsat-TMの画像を比較し湧水の流入がある岩石氷河前方の湖の変化を調べた. 2.結果 Akkol谷の右岸には30の岩石氷河が分布する.湧水は岩石氷河周辺の32ヶ所でみられた.世界のほかの山岳永久凍土分布地と比較して湧水の分布密度はかなり高いという印象を受けた. ほとんどの湧水の水温は1.5〜0.1℃と低かった.岩石氷河上部に残雪や雪渓がみられないことや岩石氷河から離れた場所の湧水温が2.1℃であったことから,これらの湧水は永久凍土の融け水起源であると考えられる 1980年7月撮影の空中写真と2000年7月撮影のLandsat-TMの衛星画像を比較した.Akkol谷中部では岩石氷河の前方に新しい湖が2つ出現した.この湖は河川から孤立しており流入は岩石氷河の湧水からだけである.また,1965年以降アルタイ共和国の降水量はやや減少傾向にあることも併せて考えると,近年の温暖化により岩石氷河内部の永久凍土の融解が顕著に生じ湧水量が増加させ湖の形成につながった可能性が高い. 3.研究成果 2003年11月19日に開催された第26回極域気水圏シンポジウムで上記の研究結果について発表した.タイトルは「ロシア・アルタイ山脈南チュイスキー山地の山岳永久凍土の分布」である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 福井幸太郎: "立山での山岳永久凍土の形成維持機構"日本雪氷学会誌. 66巻2号. (2004)
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[Publications] Fukui, K.: "Permafrost and surface movement of an active protalus rampart in the Kuranosuke Cirque, the Northern Japanese Alps"VIII. International Conference on Permafrost, Zurich, Proceedings. 1. 265-270 (2003)
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[Publications] Iijima, Y, Fukui, K.: "The effect of surface nocturnal cooling on maintaining the mountain permafrost in central Japan."VIII. International Conference on Permafrost, Zurich, Proceedings. 1. 449-454 (2003)