2004 Fiscal Year Annual Research Report
断層における応力、摩擦構成則パラメータ分布図の作成-新しい構造探査法の開発-
Project/Area Number |
03J01522
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
水野 高志 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 活断層 / 応力 / 断層破砕帯 / 構造探査 / 数値実験 |
Research Abstract |
本年度は跡津川断層とその周辺の最大圧縮軸のマッピングと野島断層の破砕帯構造を推定した。これらの成果は学会、シンポジウム等で発表し、現在、国際誌へ投稿の準備中である。 跡津川断層周辺の最大圧縮軸のマッピングについては、以下のような興味深い結果が得られた。(1)跡津川断層の中央部では、断層近傍では断層と最大圧縮軸の成す角が45。程度であるのに、断層から2-5km程度離れると断層近傍に比べ高角になった。これは、下部地殻に相当する部分に跡津川断層の深部延長が存在し、そこで定常的な滑りが発生していることを示唆するデータである。深部延長における深部滑りによって、断層面に応力が集中し、そして大地震の発生に至ると言うシナリオが跡津川断層においては成り立つ。(2)跡津川断層の東部と中央部では最大圧縮軸の向きに違いがあり、東部では断層に対して20°から30°であるのに対し、中央部では45°程度である。これは、跡津川断層の東部と中央部では、外部応力場に大きな違いがある、もしくは、飛騨山脈に相当する部分に跡津川断層を東西方向へ押す圧力源が存在することを示唆する。 次に野島断層の破砕帯構造の推定については本年度、産総研平林観測点のデータの整理、トラップ波抽出、そして平林観測点と京都大学富島観測点におけるトラップ波を用いた2次元ならびに3次元破砕帯構造モデリングを実施した。その結果、破砕帯の幅が平林周辺で60m,富島で220mとなる破砕帯構造のモデルが観測波形をよく説明した。これは、断層の中央部に比べ、南部の方が、より度重なる地震によるダメージを受けていることを意味している。また、地震により震源過程がまちまちであれば、走向にそって破砕帯構造に変化がみられないと考えられるものの、野島断層の破砕帯構造には空間変化が見られた。このことから、野島断層における地震の震源過程は、地震によってまちまちではないことが示唆される。
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Research Products
(1 results)