2005 Fiscal Year Annual Research Report
断層における応力、摩擦構成則パラメータ分布図の作成-新しい構造探査法の開発-
Project/Area Number |
03J01522
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
水野 高志 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 活断層 / 応力 / 断層破砕帯 / 構造探査 / 強震動 / 数値実験 |
Research Abstract |
(1)S波異方性を用いた活断層の応力蓄積モデルの構築 跡津川断層を一例に、S波異方性を用いて断層に働く応力方位の空間分布を推定し、それを用いて活断層への応力蓄積モデルを構築する手法を開発した。跡津川断層の中央部では、断層近傍では断層と最大圧縮軸の成す角が45°程度である一方で、断層から2-5km程度はなれると断層近傍に比べて高角になった。有限要素法により応力蓄積モデルを検討した結果、断層深部延長における定常的な滑りと広域応力場の重ねあわせによる応力場が働いていることを示唆した。今後、新たに開発したこの手法により、日本や世界の数多くの断層における応力蓄積モデルが提案されると期待できる。また、これまでの日本における地殻のS波異方性の研究を包括的に集めたオンラインデータベースも作成した。 (2)断層破砕帯構造と破砕帯が震源過程に与える影響 野島断層の破砕帯構造モデルを提案し、さらに震源過程との関連を議論した。まず、2次元、3次元の波形の数値計算により野島断層の表層から深さ8kmまでの平均的な断層破砕帯構造の走向方向の変化について推定した。その結果、破砕帯の速度とQsはそれぞれ3.0km/s,60で一定なのに対し、幅が平林周辺で120m,富島で360mとなるモデルが観測波形をよく説明した。線形な滑り弱化の摩擦構成則を断層面に仮定した場合においても、破砕帯の影響で滑り時間関数が振動を起こすことが知られており、またこれは高周波地震動の励起源の一つと考えられている。野島断層においては平林周辺で5Hz,富島周辺で1.5Hz程度のすべり時間関数の振動を起こすことが本研究の結果から推定されるが、これは観測された高周波地震動の卓越周波数とおおむね調和的である。このことから、1995年の兵庫県南部地震において、高周波地震動の励起に破砕帯構造が関わっていた可能性がある。
|
Research Products
(3 results)