2004 Fiscal Year Annual Research Report
共生細菌ブフネラを収納するアブラムシ菌細胞の宿主EST解析
Project/Area Number |
03J01542
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中鉢 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門・日本学術振興会特別研究員(SPD)
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Keywords | アブラムシ / 菌細胞 / ブフネラ(Buchnera) / EST(Exressed Sequence Tag) / GO(Gene Ontology) / リアルタイム定量的RT-PCR / 国際情報交換 / フランス:アメリカ |
Research Abstract |
昨年度得たアブラムシ菌細胞のESTデータを、公共データベース上の2種類のアブラムシESTデータ(ともに虫体全体に由来する)と比較し、菌細胞内転写産物ポピュレーションの傾向を解析した。その結果、(1)「アミノ酸代謝」(2)「輸送」(3)「防御反応」の3つのGO(Gene Ontology)カテゴリーに属する遺伝子の転写産物の割合が菌細胞特異的に高いとの傾向を得た。さらにリアルタイム定量的RT-PCR法を用いて、それぞれのカテゴリーに含まれる個々の遺伝子の発現レベルを菌細胞と虫体全体の間で比較したところ、カテゴリー内の遺伝子群の多くが虫体全体に比べて菌細胞で数十倍から数百倍も高発現していることが確認された。(1)のアミノ酸代謝関連では、ブフネラの合成出来ない可欠アミノ酸の合成に関わる遺伝子群やブフネラの合成可能な必須アミノ酸の利用に関わる遺伝子群がとくに高発現しており、この共生系が宿主アブラムシとブフネラの間のアミノ酸の相補的な授受を基礎として成り立っていることを如実に示した。(2)の輸送関連ではミトコンドリアや小胞の輸送系に関わる遺伝子群が高発現しており、これまで知られていなかったブフネラ-オルガネラ間の相互作用に関する重要な示唆を得た。(3)の防御反応関連では細菌の細胞壁を分解する酵素であるリゾチームをコードする遺伝子が群を抜いて高いレベルで発現しており、菌細胞内微生物フローラの制御に関わる因子としてきわめて有望な候補を得ることが出来た。 EST解析については、国外の研究グループ(フランスINRA/INSA、アメリカ農務省、プリンストン大学など)とも連携してさらに詳細な分析を進めており、マイクロアレイ構築の準備が整いつつある。
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Research Products
(2 results)