Research Abstract |
木粉を原料し使用して,金属やプラスチックを由来とする材料の代替材となり得る新規木質材料を開発する。本研究では,例えば,電化製品の筐体などを想定して,複雑形状を付与した成形体を作製する技術を開発するとともに,従来の木質材料にはない新しい機能を持った木質系成形材料を創製することを目的とする。木粉に熱可塑性樹脂(プラスチック)を添加して,複雑形状の木粉-プラスチック複合体を作製する際には,原料の流動特性が重要な因子となる。原料の流動特性に影響を及ぼす因子として,プラスチックの種類や分子量,溶融温度,木粉粒子の寸法形状,木粉混合率,相溶性など,数々のものがあるが,特に木粉の割合が大きい場合には,木粉粒子間の相互作用が大きな問題になると考えられる。この点を考慮し,粘性流体の特性評価に用いられる試験方法を用いて,木粉-プラスチック混合物の流動特性の評価を行った。 試験体として,高木粉比率の木粉-プラスチック混合物を用意し,様々な長さおよび径のキャピラリを用いて流動試験を行い,流動挙動を観察した。管壁におけるすべりを考慮し,バーグレイ補正,ラビノビッチ補正により,混合物の粘度を求めた。 混合物の流動は,指数法則モデルに従うことが分かった。その流動挙動においては,著しい非ニュートン挙動が観察された。管壁におけるすべりの速度は,せん断力に比例せず,複雑なすべりのメカニズムが存在することが示唆された。混合物の流動におけるせん断流れは,成形体の材料特性に及ぼす影響が大きいと考えられるが,すべり流れとせん断流れが組み合わさった流れ全体のうち,せん断流れの割合は,流速が大きいほど,また,キャピラリ径が小さいほど小さくなることが分かった。
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