2005 Fiscal Year Annual Research Report
変形にともなう断層帯の孔隙構造の変化と地震の発生過程
Project/Area Number |
03J01569
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 美紀 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 浸透率 / 孔隙率 / 弾性波速度 / 粘度鉱物 / 断層ガウジ / 充填構造 |
Research Abstract |
地震時-非地震時の岩石の挙動を予測することを目的に,摩擦強度や浸透率,弾性波速度などの岩石の物性を,高温高圧変形試験機を用いて計測し,それら物性の各条件に対する変化を把握する. <台湾車籠埔断層掘削コアを用いた岩石の浸透率と弾性波速度の同時測定> 1999年台湾集集地震の震源断層である車籠埔断層を貫いた掘削コアを用い,有効封圧の変化による砂岩の浸透率および弾性波速度の変化を1つのサンプルに対し同時に計測した.掘削コア(深度738mから1316m)より採取した18個のサンプルについて有効封圧の増加に伴う浸透率の減少を観測できた.その減少率はばらついていたものの,片対数の関係にあった.一方弾性波速度は,有効封圧が15MPaまでは有効封圧の上昇により増加したが,15MPaを過ぎると変化しなくなった.このことは,圧力の増加(深度の増加)が与える孔隙への影響の現れ方が,孔隙のバルク(弾性波速度で観測)と孔隙の連結度(浸透率で観測)とで異なっていることを示すものである. <石英クラスト-粘土鉱物の混合断層ガウジの力学特性と流体移動特性> 断層ガウジ,カタクラサイトを構成するクラスト(高強度・粒径大)とマトリックス(低強度・粒径小)を単純化し,粒径150-200μmの石英と2μmの粘土鉱物のモンモリロナイトを混ぜ,それらの混合比を調整した人工ガウジの剪断変形に対する強度と浸透率を計測した.粘土鉱物の含有比が40%を越えると摩擦係数は急低下し粘土の摩擦に近い値を示した.一方,剪断による浸透率の変化については,粘土含有比0%では石英クラストの細粒化による浸透率の0.3オーダーの低下が見られたが,それに少量(5-20%)の粘土が混じると1-2オーダーの大きな低下が変形とともに現れた.しかし,粘土含有比が25%を越えると変形による浸透率の低下はほとんど見られない.この摩擦強度,浸透率,マトリックス含有比の関係は,クラストの最密充填層の重なり方で説明することが出来る.
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Research Products
(1 results)