2004 Fiscal Year Annual Research Report
応力蓄積過程での断層間相互作用を考慮した動的破壊過程の研究
Project/Area Number |
03J01579
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加瀬 祐子 独立行政法人産業技術総合研究所, 活断層研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 動力学的破壊過程 / 断層間相互作用 / 断層形状 / 応力場 / 断層の活動履歴 |
Research Abstract |
本研究は,長期にわたる応力蓄積過程と短時間の動的破壊過程との間の相互作用を考慮することにより,幅広い時間スケールでの断層系のふるまいを理解することを目的としている.今年度は,より複雑な形状の断層上での動的破壊過程を計算できるようにするための第一歩として,折れ曲がりのある断層上での破壊過程を差分法で計算する手法を開発した. 走向方向に折れ曲がりのある断層に沿ってとった座標系を,座標変換を用いて直交座標系へ投影することによって,差分法で問題を解けるようにした.折れ曲がりの角度や外部応力場を変えてシミュレーションを行った結果,折れ曲がり部分より先に破壊が伝播するかどうかは,折れ曲がりの角度によって決まる静的な応力場に支配されていること,また,折れ曲がり付近でのすべり量の分布は,すべりによって生じる動的な応力変化によって撹乱されることがわかった.折れ曲がりの角度が大きくなるにしたがって,断層面にはたらく剪断応力は小さく,法線応力は大きくなるため,破壊は進展しにくくなる.差応力値の観測結果を用いて仮定した応力場中にある断層では,折れ曲がりの角度が10°程度の場合,折れ曲がり部分より先の破壊速度が減速し,20°程度の折れ曲がりでは,破壊がほぼ停止するという計算結果が得られた.この結果は,現実の断層形状と地震の破壊過程との関係とよく一致している. なお,これらの研究成果は,AGU(アメリカ地球物理学連合)秋季大会において発表し,現在,投稿論文にまとめている.
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Research Products
(1 results)