2003 Fiscal Year Annual Research Report
中生代東アジア大陸縁辺での堆積盆の形成プロセスとテクトニクス
Project/Area Number |
03J01584
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
亀高 正男 独立行政法人産業技術総合研究所, 地球科学情報研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 三畳紀 / 美祢層群 / 地質図 / 秋吉帯 / 長門構造帯 / 堆積環境 / 後背地 / テクトニクス |
Research Abstract |
研究地域について産総研の受入研究者らと話し合った結果,山口県西部,5万分の1地質図幅「西市」地域に分布する三畳系美祢層群について堆積盆解析を行うことになった.名古屋大学在籍時に,美祢層群分布域の南部地域については既に地質調査と後背地解析を行っている.そこで,本年度は北部地域の地質図作成を中心に研究を進めることにした. 5月に産総研の脇田浩二博士とともに現地の予察的な地質調査を行い,調査範囲を決定した.その後,11月,12月,3月に本格的な地質調査を行った.合計で47日間の野外調査を行い,調査の費用として15日分を当科研費でまかなった他,産総研から32日分の調査費用を出していただいた. 野外調査ではルートマップや柱状図を作成し,岩石ならびに化石試料の採取を行った.現在は,地質図を取りまとめている段階である その結果として, 1.美祢層群は全体として北西-南東に軸を持つ大規模向斜構造を形成しているが,その北西翼側は複向斜をなしている. 2.北部地域の美祢層群と秋吉帯の境界は従来考えられているよりも西側に存在し,両者は断層で接するが,北縁部では不整合関係にある. 3.雁飛山山頂部付近に露出するチャート角礫岩は,美祢層群ではなく秋吉帯に属する. 4.雁飛山地域の秋吉帯のチャート中に産出する石灰岩の産状や新たな分布が判明した. 5.美祢層群北西部はひん岩および石英斑岩の貫入を多くの場所で受けている. などの新事実が判明した. また,採取した岩石試料については薄片を作成し,観察・記載を進めている.この他,美祢層群に近接する秋吉帯や長門構造帯の岩石を中心に,フッ酸処理を用いた微化石による年代決定を行っている.堆積相解析のための柱状図作成が若干遅れ気味であるが,この作業は次年度に本格的に行う予定である.
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