2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01609
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮坂 瑞穂 (安間 瑞穂) 北海道大学, 大学院理学研究院・特別研究員 (PD)
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Keywords | 伊豆諸島三宅島火山 / 北海道駒ケ岳火山 / マグマ供給システム / 時間変化 / マグマ混合 / カルデラ形成噴火 / 先史時代噴火 |
Research Abstract |
伊豆諸島三宅島火山に関しては、2500年前と西暦2000年のカルデラ形成噴火に注目して、マグマ供給システムの共通点・相違点を考察した。これらの噴火は、いずれもほぼ同じ位置にほぼ同じ直径のカルデラを形成しているが、2500年前噴火では大量の本質物質を噴出しているのに対して、2000年噴火の噴出量は2500年前噴火の1/40程度にしか満たない。これらの噴出物について岩石学的研究を行ったところ、両噴火とも安山岩質マグマを噴出した後に、玄武岩質マグマが噴出し始めたことが明らかになった。また、2500年前噴火ではそれ以前に活動し続けていた安山岩質マグマが噴出後、新たに活動し始めた玄武岩質マグマが貫入してきたと考えられるのに対して、2000年噴火では安山岩質マグマ・玄武岩質マグマともそれ以前のマグマが引き続き活動したものであり、噴火中に安山岩質マグマはほぼ消費しつくされた可能性が高いことも明らかになった。伊豆諸島三宅島火山に関する一連の研究に対しては、平成18年度日本火山学会研究奨励賞を受賞した。 北海道駒ヶ岳火山に関しては、約32000年前以降の先史時代噴火について、マグマ供給システムの変遷を考察した。その結果、北海道駒ヶ岳火山には500-1000年間の噴火が集中する噴火期があり、噴火期ごとにマグマの特徴が異なることが明らかになった。また、駒ヶ岳火山の全体の活動を通して、常に斑状な珪長質端成分マグマ溜まりと斑晶量の少ない苦鉄質マグマ溜まりが存在していたと考えられ、より浅部の斑状な珪長質端成分マグマは、噴火期間中に消費され休止期間中に更新されていたのに対して、斑晶量の少ない苦鉄質端成分マグマは、時間とともに分化していた可能性がある。さらに、歴史時代噴火の1つ前の噴火期である5500-6000年噴火では、SiO2=54%程度の苦鉄質マグマと980-1040℃で晶出した輝石を含む珪長質マグマが混合したマグマが噴出しており、この混合マグマは噴火期を通じて温度を降下しながら分化していたと考えられる。
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