2003 Fiscal Year Annual Research Report
不凍・抗菌タンパク質の構造解析を利用した有用タンパク質作成のための基礎研究
Project/Area Number |
03J01644
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宇梶 慎子 (桑原 慎子) 独立行政法人産業技術総合研究所, ゲノムファクトリー研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小麦 / タウマチン様タンパク質 |
Research Abstract |
本研究の目的は,同じファミリーに属していながら異なる機能を持つ二種のタンパク質の立体構造を明らかにし、構造学的知見から二つのタンパク質の機能の違いを明らかにすることである。小麦由来の抗菌性タンパク質WAS3は、冬ライ麦で報告されている不凍タンパク質の一つと相同なアミノ酸配列を持っている。しかしながら、これらのタンパク質の機能は、抗菌活性と不凍活性で示されるように全く異なるものである。そこで、平成15年度は、これらの機能の違いを明らかにするための第一段階として、WAS3の立体構造の解析を試みた。小麦培養細胞を用いたタンパク質発現系により、WAS3を大量調整し、陽イオン交換カラム、ゲルろ過カラムクロマトグラフィーを用いて精製を行った。この精製標品を30 40mg/mLになるまで濃縮し、X線構造解析のための結晶化試料とした。結晶化条件のスクリーニングを行い、得られた条件を精密化した結果、0.1M Lithium nitrate、20% PEG3350、0.1M HEPES(pH6.7)で解析可能な結晶が得られた。X線回折の結果、2.2Å分解能の回折データを収集することができた。位相決定は分子置換法により行い、WAS3の立体構造モデルが明らかになった。今後は、WAS3の比較対象物である不凍活性を持つタンパク質の立体構造を明らかにするために、低温処理した冬小麦実生由来の不凍タンパク質の単離と構造解析を行う予定である。そのための準備として、低温処理した冬小麦実生由来のcDNAライブラリの作成も行った。このcDNAライブラリを用いてWAS3に相同な不凍タンパク質の単離を試みる予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Norifumi Ukaji, Chikako Knwabara, Daisuke Takezawa, Keita Arakawa, Seizo Fujikawa: "Accumulation of pathogenesis-related (PR) 10/Bet v 1 protein homologues in mulberry (Morus bombycis Koidz.) tree during winter"Plant, Cell and Environment. (In press).