2004 Fiscal Year Annual Research Report
木材腐朽菌類によるダイオキシン類の分解および処理に関する研究
Project/Area Number |
03J01652
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Research Fellow |
森 智夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 木材腐朽菌 / ダイオキシン / 塩素化ナフタレン / 水酸化 |
Research Abstract |
低塩素置換のダイオキシンを分解可能な菌株について分解機構解明等について検討を行ってきたが、高塩素置換体の反応経路については不明である。ダイオキシン類は水溶性が低く、生物による分解を受けにくいが、塩素置換数が増えるに従ってその傾向は大幅に増大する。この様な特性や毒性を考慮すると、高塩素置換ダイオキシンを分解試験に大量に用いることは現実的ではないと考えられる。そこでダイオキシン類とよく類似した毒性、物性を持ちながら、より水溶性が高く、毒性も低い塩素化ナフタレン類を塩素化ダイオキシン類のモデル化合物として実験に用いることにした。ダイオキシン分解菌である、Phlebia lindtneriおよびPhanerochaete chrysosporiumを実験に供した。P.lindtneriに関しては一塩素化ナフタレンを水酸化分解することは既に報告している。両菌株により二塩素置換ナフタレン類は複数のモノオール、ジハイドロジオールへと分解された。P.lindtneriにおいては、水酸化反応によって塩素転移反応が一部起こっていた。四塩素化ナフタレンも同様にP.lindtneriにより水酸化物へと代謝されたが、P.chrysosporiumでは代謝産物は確認できなかった。P.lindtneriによる塩素化ナフタレンの水酸化反応は、チトクロムP-450(CYP)の特異的阻害剤により阻害されたことからCYPモノオキシゲナーゼによる反応であると推察された。
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