2005 Fiscal Year Annual Research Report
木材腐朽菌類によるダイオキシン類の分解および処理に関する研究
Project/Area Number |
03J01652
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Research Fellow |
森 智夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | ダイオキシン類 / 白色腐朽菌 / モノオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
低塩素置換されたダイオキシン類(ダイベンゾ-p-ジオキシン、ダイベンゾフラン等)およびクロロナフタレンなどの多環式芳香族化合物を分解可能な白色腐朽菌Phlebia lindtneriを、これまでの研究でダイオキシン類処理に有望な菌株として見いだしている。この分解反応はシトクロムp-450(CYP)モノオキシゲナーゼによる酸化反応であると予想しているが、酸素付加の位置選択性が高く塩素置換位置、および塩素置換度によりその分解性が大きく損なわれること予想された。そこで、実際に2-4塩素置換ダイオキシン類の分解実験を行ったところ、塩素置換度が増えるに従い分解力が著しく低下していくことが明らかになった。この様な問題点を克服する為の情報を得るために、まずCYPモノオキシゲナーゼの遺伝子情報を得ることにした。保存領域であるヘム結合サイトとpolyA配列間でRT-PCRを行った。この結果、350bpと370bp付近に二つのバンドが確認され配列を決定したところ二つのアイソザイムを発現しているようであった。そこでそのアイソザイムそれぞれについて5'-RACE法により完全長の決定を試みたが、現在のところ完全長を得るに至っていない。しかしながら、部分配列をBlastサーチにかけたところカワラタケ由来のCYPと相同性が高く同じファミリーに属する可能性が高かった。故にこのCYP遺伝子が白色腐朽菌類に広く分布した代謝経路上の酵素(たとえば、芳香族代謝経路)であることが推定される。
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