2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞のリアルタイム可視化技術を用いた酵母細胞壁合成系に関する研究
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03J01655
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
角田 徹 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖工学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | PIR / 酵母 / 細胞壁 / マンナンタンパク質 / 高性能顕微鏡システム / HARP方式 |
Research Abstract |
本研究は、超高感度高精細顕微鏡システムを用い、酵母細胞壁合成に関与するタンパク質を観察することを目的としている。具体的には、HARP方式のカメラをニポウディスク方式の共焦点蛍光顕微鏡に組み込んだ試作機が現在産総研に設置されており、2種類の異なる蛍光波長で標識した標的タンパク質の観察が可能になった。このシステムを用いることにより、長時間にわたる標的タンパク質の挙動をタイムラプス観察で追うことが可能となった。今後は感度、解像度の向上、標的タンパク質の種類の増加、三次元立体像解析システムの構築が課題となる。 一方、標的タンパク質には酵母細胞壁のマンナンタンパク質であるPIR型タンパク質を選定した。酵母PIR型タンパク質にはPirlp〜Pir4pの4種類が存在するが、細胞壁合成における機能や輸送形態など不明な点が多い。同じくマンナンタンパク質であるGPIアンカー型タンパク質の挙動と比較することで細胞壁合成ネットワークの全貌解明に貢献できると考えている。現在までに4種類のPIR型タンパク質は、mRFPまたはVenusといった蛍光タンパク質と融合させて発現させることで、全て細胞表層に局在していることが確認できた。中でもPirlpは他の3種類と異なり、細胞表層で偏在していることが確認された。この結果は、同じPIR型タンパク質であっても細胞壁への輸送経路や機能が異なっていることを示唆している。一方、GPIアンカー型タンパク質であるCwplpやGaslpも蛍光タンパク質と融合させ、細胞表層への局在が確認できている。今後、高性能顕微鏡システムを用いることにより、これら細胞壁合成系因子の時間的、空間的分布などが明らかになると期待される。
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