2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞のリアルタイム可視化技術を用いた酵母細胞壁合成系に関する研究
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03J01655
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
角田 徹 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖工学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | PIR / 出芽痕 / 細胞壁 / 反復配列 / 高精細型顕微鏡 / HARP |
Research Abstract |
出芽酵母には、細胞壁に局在するPIR型タンパク質が4種類(Pir1p〜Pir4p)存在し、いずれもN末端側に類似の反復配列を持つという特徴がある。しかし、細胞壁への局在メカニズム、細胞壁内での詳細な局在部位、反復配列の役割やタンパク質の機能など不明な点が多かった。そこでこれらを解明するために、まず4種類のPIR型タンパク質の局在を、蛍光タンパク質mRFPを融合して発現させることにより調べた。その結果、Pir1pは出芽痕、Pir2pは出芽痕を含む細胞壁全体、Pir3pとPir4pは出芽痕以外の細胞壁に存在していることが判明した。さらに、超高精細型顕微鏡システムを用いることで、Pir1pは出芽痕のキチンリングの内側に局在していることが判明した。また、本顕微鏡を用いて酵母細胞を3D画像として構築し、デコンボリューション処理を行うことにより、細胞全体の出芽痕とPir1pの局在を立体画像としてとらえることに成功した。そしてその結果、全ての出芽痕にPir1pが存在しているわけではないことが判明した。出芽痕に存在しているタンパク質は今までに報告例がなく、これが最初の報告となった。次に、PIR型タンパク質が共通して持つ反復配列の役割を検討した。Pir1pは8つの繰り返し配列の単位をタンデムに持つが、これを1つずつN末端側から削れば削るほど培地にPir1pが出てくることから、反復配列は細胞壁との結合に関与し、数が多ければ多いほど細胞壁との結合が強いことが判明した。また、反復配列の単位が1つでも存在していると出芽痕には局在できることも判明した。さらに、Pir1pの反復配列をPir4pのものと置換したキメラタンパク質の局在を観察した結果、出芽痕に局在していたことから、Pir1pの反復配列は出芽痕への局在メカニズムには関与せず、反復配列より下流のC末端側の領域が出芽痕への局在に関与する配列であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)