2003 Fiscal Year Annual Research Report
多様化した真核細胞の細胞質分裂機構の解明とガン細胞特異的細胞質分裂機構の阻害
Project/Area Number |
03J01665
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
長崎 晃 独立行政法人産業技術総合研究所, ジーンファンクション研究センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 細胞質分裂 / 細胞性粘菌 / 網羅的スクリーニング / REMI |
Research Abstract |
分裂期において細胞はその赤道面に収縮環を形成する。収縮環はミオシンとアクチンの二つ繊維から構成され、収縮環の収縮力によって細胞は二つの娘細胞に分割されると考えられている。また、長年において細胞質分裂にミオシンが必須であると考えられてきた。 細胞性粘菌では収縮環の構成タンパク質であるミオシンを欠損した細胞株が存在する。懸濁培養下ではこのミオシン欠損細胞は細胞質分裂が行えない。しかしこのミオシン欠損細胞を基質上で培養すると、細胞は一見正常に分裂し、増殖を行うことが可能である。こうした現象を従来のモデルのみでは説明することはできない。そこで細胞性粘菌には収縮環非依存的かつ基質接着依存的な分裂制御機構の存在することが考えられた。 私は粘菌を細胞質分裂研究におけるモデル系として用いることで、細胞質分裂機構は多様化していることを遺伝学的に証明してきた。次に、それぞれの分裂機構に関与する遺伝子を同定する目的で、細胞性粘菌の変異体ライブラリーを作成し、細胞質分裂変異体を単離し、細胞質分裂に関与する新奇遺伝子を同定した。この遺伝子はマルチドメインタンパク質をコードした新奇遺伝子あり、ヒトにおいてもドメイン構成が類似したものが存在する。この新奇タンパク質DWWAはカルモジュリン結合ドメイン、WWドメイン、細胞膜結合モチーフ、核移行シグナルを持ち、細胞内局在は核及び細胞膜であり、細胞質分裂時においては分裂溝に局在する。dwwAのノックアウト細胞は細胞質分裂の最終段階において娘細胞間の細胞質切断が阻害され、その結果、細胞は多核化する。このことから、DWWAは細胞質分裂の最終ステップにおいて娘細胞間細胞質の切断に関与するものと考えられる。また、dwwA欠損細胞は基質上で培養したときのみに細胞質分裂が阻害され、懸濁培養下では正常に分裂することから、基質接着依存的な娘細胞間細胞質切断機構の存在が示唆された。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Akira Nagasaki: "DWWA a novel protein containing two WW domains and an IQ motif is required for scission of the residual cytoplasmic bridge during cytokinesis in Dictyostelium"Molecular Biology of the Cell. 15(2). 435-446 (2004)
-
[Publications] Taro Q.P.Uyeda: "Variations on a Theme-the Many Modes of Cytokinesis"Current Opinion in Cell Biology. 16(1). 55-60 (2004)
-
[Publications] Makoto Hibi: "Dictyostelium discoideum talin A plays critical roles in myosin II-independent and adhesion-dependent cytokinesis"Journal of Muscle Research and Cell Motility. (In press).