2004 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性ポリシランのプローブ顕微鏡による孤立・会合形態とらせん反転現象の直接観察
Project/Area Number |
03J01682
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
大平 昭博 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ポリシラン / 光学活性 / らせん反転 / 円偏光 / スイッチ / メモリ / 原子間力顕微鏡 / 超らせん構造 |
Research Abstract |
平成16年度は所属機関である奈良先端科学技術大学院大学において、光学活性ポリシランのプローブ顕微鏡による孤立・会合形態とらせん反転現象の直接観察という研究テーマを遂行し、以下の研究成果が得られた。 1.光学活性の合目的的かつ簡便な制御手法の開拓は、円偏光や旋光性の符号や強度変調を利用したスイッチやデータストレージ等の光情報処理システムを構築する上で重要な課題の一つである。今回、溶液中-20℃でらせん反転するポリシランを用いて固体フィルムを作製した。その結果、分子量と冷却速度のタンデム制御で、円偏光の反転スイッチ、一回書込み多数回読出しモード(Write-Once-Read-Many-Times, WORM)と書換え可能モード(Re-Writable, RW)の全てを実現できた。 2.会合形態において、一方向巻きの超らせん会合構造を原子間力顕微鏡によって確認することができた。生体システムの中の構造タンパクやDNAは分子レベルのキラリティを情報として一方向の超らせん会合システムを構築している。本研究成果は、合成らせん高分子によって、生体中で実現されているような超らせん構造の形成を実現できたものと考えている。これは人類が長年疑問に抱いてきた、自然界のホモキラリティの起源にも関連するものと考えられ、弱い分子間力しか働かないポリシランは会合体形成のメカニズムを理解する上で理想的な高分子であると言える。 今回得られた研究成果は、光学活性ポリシランのプローブ顕微鏡による孤立・会合形態とらせん反転現象の直接観察という研究テーマにおける極めて重要な基礎的知見を与えるものである。本テーマにおいて、今後より詳細な情報、興味深い現象の発見が期待できる。
|
Research Products
(2 results)