2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物の胚の未分化細胞から決まったパターンで器官が作られる過程の分子機構の解明
Project/Area Number |
03J01690
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高田 忍 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 胚発生 / パターン形成 / 植物 / 位置情報 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
本研究は植物の胚の特定の領域で発現する遺伝子の発現調節に関わる因子を同定することにより、植物の未分化な細胞から茎頂分裂組織などの組織が最初に作られるときの分子メカニズムを理解することを目的とする。胚の細胞における遺伝子やタンパク質の発現解析法を確立することが、本研究課題を遂行する上で必須であるため、本年度は植物の胚発生研究の技術が優れているGerd Jurgens博士(ドイツ・チュービンゲン大学)の指導も受けながら研究をおこなった。 まず、胚の特定の領域で転写を誘導するのに必要な最小のシス領域を同定する試みをおこなった。最初に一細胞期の胚の頂端側細胞や表皮細胞で発現するAtML1遺伝子と、胚において分裂組織形成部位で初期より発現するWUS遺伝子の発現をレポーター遺伝子であるGreen Fluorescet Protein(GFP)の蛍光によって胚で可視化するためのコンストラクトを作製した。作製したキメラ遺伝子をシロイヌナズナに導入するためにアグロバクテリアを用いて形質転換処理をおこなった。AtML1遺伝子のプロモーターでGFPを発現させた形質転換体では心臓型胚の表皮細胞で発現が見られたが、初期胚では蛍光が弱く、解析が困難であった。そこで、蛍光強度が高いと思われる改変型GFPを発現するコンストラクトを構築し、新たな形質転換体を作製している。さらに、WUS遺伝子に関しては発現調節に必要なシスエレメントを同定するためにプロモーター領域を欠失させたコンストラクトを作製している。さらにJurgens博士が保有するパターン形成変異体を用いて、これらの遺伝子の発現に影響を与える因子についても探索をおこなっている。
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