2003 Fiscal Year Annual Research Report
アラビドプシスにおけるメチル化DNAに関連したクロマチン再編成のモデル作成
Project/Area Number |
03J01692
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
伊藤 美佳子 奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | メチル化DNA / アラビドプシス / クロマチン再編成 / エピジェネティック |
Research Abstract |
脊椎動物のゲノムでは5'-CpG-3'のシトシンがメチル化修飾を受る。その生理機能は長く不明であった。最近、メチル化シトシン(5メチルシトシン)に結合するタンパク質(MBD)が見いだされ、生理機能がかなり明らかになってきた。MBDタンパク質はヒストンデアセチラーゼなどと複合体を形成し、転写の調節に関与することが示された。植物ではCpGに加えてCpNpGおよびCpNpNのシトシンに対してもメチル化も起こり、動物とは異なる転写制御系の存在が推定されている。本研究では植物のMBDタンパク質を解析するために、アラビドプシスのゲノムシークエンスを探索し、メチル化結合ドメイン(MBD)を持つ配列を8個、同定した(AtMBD)。大腸菌で発現したタンパク質を用いて、ゲルシフトアッセイをしたところ、1個のみが5メチルシトシンを認識することが分かり、AtMBD5と名づけた。この蛋白質は細胞分裂の盛んな、根端や花で強く発現することから、染色体の形成、分裂に関与することが推定された。これらの結果からAtMBD5は植物細胞DNAのメチル化シトシンに結合し、動物のMBDに類似した機能を持つ新規の転写調節タンパク質であることが示唆された。植物MBDの研究は世界でも例がなく、今後の生物学の最も大切な研究課題であるエピジェネティック制御(塩基配列の変化を伴わない遺伝子の変異)機構の解明にむけた先駆的、独創的な結果と考えている。これらの成果の一部はPlant Physiology誌に掲載された。
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Research Products
(1 results)