2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ生殖細胞形成に関与する母性mRNAの安定性制御機構の研究
Project/Area Number |
03J01748
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三嶋 雄一郎 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 生殖細胞 / mRNA安定性制御 / 翻訳制御 / poly(A)鎖 |
Research Abstract |
本年度は、ゼブラフィッシュ生殖細胞形成過程におけるnanosl mRNAの3'UTRを介した転写後制御機構に関して以下の知見を得た。 1、nanosl 3'UTRを介したmRNA安定性制御におけるpoly (A)鎖の役割 これまでの研究から、ゼブラフィッシュ1細胞期にpoly (A)なしのGFP-nanosl 3'UTR mRNAを導入すると生殖細胞特異的に安定化され、体細胞では分解されることがわかっている。一般にmRNAの安定性は5'CAP構造とpoly (A)鎖長が重要な役割を果たすことが知られているため、nansol 3'UTRを介した安定性制御も細胞質におけるpoly (A)鎖長の制御によるものである可能性が考えられる。つまり、体細胞ではpoly (A)鎖の伸長がおこらない結果、分解される可能性がある。この可能性を検証するため、GFP-nanosl 3'UTR mRNAの3'末端に150塩基程度のpoly (A)鎖をあらかじめ付加したmRNAのinjection実験を行った。in situ hybridization法により導入したmRNAの挙動を検討した結果、予備的ではあるが体細胞での分解にpoly (A)鎖の有無による差はないとの知見を得た。このことから、nanosl mRNAの体細胞における分解制御機構はpoly (A)鎖長の制御に依存しないことが示唆された。今後はノザン法により詳細に解析する必要があると考えている。 2、トランス因子候補DAZLタンパク質の機能解析 前年度までに、DAZLタンパク質がnanosl 3'UTRを介して遺伝子発現を正に制御するという知見を得ている。この制御機構を解析する第一歩として、ゼブラフィッシュ1細胞期へのmRNA injectionによるルシフェラーゼアッセイを行い、活性化を定量的に測定することを試みた。その結果、Dazlはnanoslの3'UTRを介して遺伝子発現を2倍程度活性化することがわかった。またDAZLタンパク質の生殖細胞内の局在をGFP融合タンパク質により検討し、DAZLタンパク質は生殖細胞内でRNA-タンパク質複合体として顆粒状に局在する可能性が示唆された。
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