2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ生殖細胞形成に関与する母性mRNAの安定性制御機構の研究
Project/Area Number |
03J01748
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三嶋 雄一郎 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 生殖細胞形成 / ゼブラフィッシュ / mRNA安定性制御 / cap構造 / poly(A)鎖 |
Research Abstract |
本年度は、ゼブラフィッシュ生殖細胞形成過程におけるnanos1 mRNAの3'UTRを介した転写後制御機構に関して5'cap構造とpolyA鎖を介した制御に着目して研究を行い、以下の知見を得た。 1、nanos1 mRNAの安定性制御における5'cap構造の役割 近年、3'UTRなどのシス配列を介して特異的に結合する因子が、5'capやpolyA鎖、エキソン連結部位など一般的なmRNA構造に結合する複合体と協調的に作用することで、様々な転写後制御を行なっていることが示唆されている。このような知見を鑑み、nanos1 3'UTRを介した生殖細胞特異的なmRNA安定化機構について、5'cap構造の必要性を検討した。通常のm7Gcapは、RNAの5'末端の保護と、キャップ結合因子の足場としての二つの役割を有している。そこで、5'末端の保護の機能を損なうことなく、キャップ結合因子の結合を阻害するために、人工的に作成された偽キャップ構造を持つレポーターmRNAを作成し、生殖細胞における安定性を検討した。その結果、偽キャップを持つレポーターmRNAは、生殖細胞特異的な安定化を受けないことを明らかにした。 2、nanos1 mRNAのpoly(A)鎖長の制御 内在性nanos1 mRNAのpoly(A)鎖長の変化について検討を行い、予備的ながら受精後にnanos1 mRNAのpoly(A)鎖長が変化することを見いだした。このことから、nanos1 mRNAの安定性制御はpoly(A)鎖長の変化を介して行われることが示唆された。 3、nanos1 mRNAの細胞内局在 生殖細胞内におけるnanos1 mRNAの局在を検討したところ、nanos1 mRNAは核膜近傍に顆粒状に局在することを見いだした。また、発生のある段階において、生殖細胞特異的RNAヘリケースであるVASA蛋白質と共局在することを見いだした。
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