2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J01814
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松本 健司 徳島大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シララクトン / 高配位ケイ素化合物 / 開裂反応 / β-シリルカルボン酸 / ヨウ素 / イノラートアニオン / オレフィン化反応 / アシルシラン |
Research Abstract |
申請者はイノラートアニオンの特性を生かした新反応の開発を目的に研究を行い、すでにイノラートを用いたアシルシランの高立体選択的オレフィン化反応を開発することに成功している。さらに、オレフィン化反応生成物である(Z)-β-シリルアクリル酸の合成的有用性を探索したところ、ヨウ素との反応によりシララクトンが高収率で得られるという新反応を見出した。シララクトンの合成例は数例しかなく、その一般的合成法や物理的・化学的特性等その化学は限りなく未開拓に近い状態である。今回、本反応を詳細に検討した結果、以下のような知見を得ることができた。 1,高い一般性。ケイ素上にメチル、エチル、イソプロピル、フェニル基を有する(Z)-β-シリルアクリル酸の反応はいずれもシララクトンを高収率で与えた。また、2-シリル安息香酸も同様にシララクトンへ変換された。 2,(Z)-β-シリルアクリル酸の高配位ケイ素構造。X線結晶構造解析により、(Z)-β-シリルアクリル酸はカルボニル酸素がケイ素に弱く配位した五配位ケイ素構造を有していることが分かった。この分子内配位により活性化された炭素-ケイ素結合がヨウ素により求電子的に開裂し、シララクトンが生成したものと考えられる。 3,シララクトンの反応性。シララクトンを還元反応に付すと、環状シリルエーテルが高収率で得られた。グリニヤール反応に付すと、ケイ素上で置換反応が進行し、ケイ素上に種々の置換基を有するβ-シリルアクリル酸を得ることに成功した。さらに、パラジウム触媒によるクロスカップリング反応により四置換オレフィンへと変換した。 以上のように、申請者は本反応が初めての高い一般性を有したシララクトン合成法であることを明らかにした。さらに、シララクトンの合成的有用性も示すことができた。
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Research Products
(1 results)