2003 Fiscal Year Annual Research Report
特異一階偏微分方程式に対する形式解のジュブレイ度及びボレル総和可能性
Project/Area Number |
03J01836
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
日比野 正樹 名城大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 常微分方程式 / 特異摂動 / 発散冪級数解 / ジュブレイ漸近展開 / ボレル総和可能性 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究成果を挙げました: 特異摂動パラメータを持つ単独一階線型常微分方程式の(パラメータについての)発散冪級数解がボレル総和可能となる為の十分条件を求めることに成功しました.以下にその概略を述べます. 方程式:[{α(x)+γ(x,ε)}εD_x+1]u(x,ε)=f(x,ε)を考えます.但し,変数x,パラメータεは複素数とし,αγ,fは原点の近傍で正則,α(0)≠0,γ(x,0)≡0とします. この方程式は形式冪級数解u(x,ε)=Σ^∞_<n=0>u_n(x)ε^nを唯一つ持ちますが,一般に発散冪級数であることがこれまでの私の研究で既に分かっております.そこでこの形式解がボレル総和可能である.為に方程式が満たすべき条件を求めることを試みました. そして次の結果を得ました:「初期値問題x'=α(x),x(0)=0のある大域的可解性,及び係数γ,fの変数xについてのある大域的増大性(または減少性)を仮定すれば,形式解がボレル総和可能となる.」 元の方程式に形式的ボレル変換を施して得られる合成積方程式が,ある一つの方向に無限遠点まで大域的に正則可解であり,かつ解がその上で指数関数増大度を持つことが示されれば上の結果は証明されます.逐次近似法を用いてその証明に成功しました. 本年度の研究成果は,当初の計画よりも部分的に進んだものになっております.即ち,上の方程式にパラメータεについての微分項を付加して得られる偏微分方程式は,当初扱う予定であった偏微分方程式よりも一般化されたものになっております. なお,本年度の研究成果は,論文として微分方程式論の専門誌「Journal of Differential Equations」に投稿中です.
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Research Products
(1 results)