2003 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子産物P53のPIAS1を介したSUMO化による制御の解析
Project/Area Number |
03J01891
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
萃表 友暁 東京薬科大学, 生命科学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | p53 / SUMO / PIAS / 転写活性 |
Research Abstract |
p53の持つ転写活性能が、SUMO化によってどのような影響を受けるのかを検討した。用いた培養細胞は内在性p53が検出されない細胞株であるヒト肺癌由来H1299細胞と子宮頚部癌由来HeLa細胞である。p53の標的遺伝子であるp21のプロモーター内にある認識配列をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み入れ、ルシフェラーゼ活性をルミノメーターで測定することでp53の転写活性能を数値化した。その結果、SUMO化部位に変異を入れたK386R変異型p53の方が野生型p53よりも2〜6倍転写活性能が高かった。これはSUMO化がp53の転写活性能に対して抑制的な効果を持っていることを示唆する。一方で、p53のSUMO化を促進するSUMO-E3であるPIAS1をp53と共発現させると、p53の転写活性能が上昇した。この結果は、SUMO化がp53の転写活性能を促進することを示すものだが、K386R変異型p53においても野生型と同様なPIAS1による活性化が観られたため、このp53のPIAS1による活性化はp53のSUMO化を介したものではないと推測される。つまり、PIAS1を介したp53の転写活性能の制御において二つの経路が関与していると考えられる。一つはPIAS1を介したSUMO化によって抑制される経路で、他方はSUMO化とは関係なくPIAS1によって促進される経路である。 p53のDNAに対する結合能をEMSAによって検討した。その結果、野生型とK386R変異型p53との間でDNA結合能の差は検出されなかった。故に、SUMO化による転写活性能の変化は何かしらの他の因子によって制御されていると考えられる。その因子を同定するため、HeLa細胞抽出液からSUMO化p53に結合するタンパク質を同定することを試みた。しかし、SUMO化p53に特異的に結合するタンパク質は現在までに同定されるには至っていない。
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