2004 Fiscal Year Annual Research Report
記憶の脳内メカニズムの解明とその応用-手続き記憶を中心として-
Project/Area Number |
03J01927
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
望月 寛子 昭和大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 意味プライミング / fMRI / 意味記憶 / 身体部立 / 衣服 / 道具 / 側頭頭頂葉 / カテゴリー特異性 |
Research Abstract |
意味プライミング効果によって生起されるカテゴリー特異的な脳活動について fMRIによる研究 <はじめに>多くの先行研究によって、意味記憶はカテゴリーごとに脳内に局在していることが指摘されてきた。側頭葉の後方から頭頂葉では、身体部位を中心に道具や家具など私たちの生活空間を構成するカテゴリーが集まっている。仮に、脳内の局在に空間的な配置が関係しているとすれば、衣服に関する処理も身体や道具と近い領域で行われている可能性が高い。そこで本研究では、意味プライミング課題を用いて、(1)身体、(2)衣服、(3)道具に対し特異的に活動する脳領域を特定し、各カテゴリーの局在と空間配置との関連性を検討した。 <方法>被験者:右利き健常大学生21名、課題:3つのカテゴリーそれぞれに対して意味プライミング実験を実施した。実験では、プライマーの提示後に意味的に関連のあるターゲットを用いた単語完成課題が行われるプライミング条件(くぎ→か□□ち)と、固視点の後に単語完成課題を行うnon-プライミング条件(+→のこ□□)を行った。撮像と解析:課題遂行中の脳活動をevent-related fMRIを用いて計測し、解析にはSPM2を使用した。 <結果>non-プライミング条件に比べプライミング条件において有意な活動を示した領域は、(1)身体:右上・中側頭回、左角回(両側39野)、(2)衣服:右縁上回(40野)、(3)道具:両側中側頭回(37・39野)であった。 <考察>(1)身体、(2)衣服、(3)道具の3つのカテゴリーに対し特異的に活動する脳領域は側頭葉後方から頭頂葉領域に集中していた。同領域におけるカテゴリーの局在は身体部位(自身)を中心に衣服、道具、家具などが配置されている可能性が高く、カテゴリー間の空間的なつながりが重要なのかもしれない。また、身体部位や道具に対するカテゴリー特異性は両側、衣服に対する特異性は右側優位に存在することが示唆された。
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