2003 Fiscal Year Annual Research Report
群集構造から見た鳥類の生活史の進化-子にとっての餌生物と捕食者に着目して-
Project/Area Number |
03J01933
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
水田 拓 東邦大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 捕食者 / 採食行動 / 営巣場所の特性 / 繁殖開始時期 / マダガスカルサンコウチョウ / ブラウンキツネザル / テトラカヒヨドリ / マダガスカル |
Research Abstract |
2003年10月〜翌年3月に、マダガスカル北西部のアンカラファンツィカ国立公園で調査を行なった。対象鳥類であるマダガスカルサンコウチョウ(以下サンコウチョウ)の巣を林内で発見し、繁殖開始時期、営巣場所の特性等を記録した。同時にビデオカメラによる巣の捕食者の特定を試みた。この結果、1)サンコウチョウの巣の主要な捕食者はブラウンキツネザルであること、2)周りの植生による巣の被度が、その巣の捕食率に影響する要因であること、等がわかった。特定された捕食者、ブラウンキツネザルの採食行動を把握するため、週に一度群れの終日観察を行なった。この観察によって、本種は、1)午前中の早い時間帯に採食すること、2)気温が高くなると木陰に移動し夕方まで休憩すること、3)夕方にもう一度採食を行なうこと、4)夜間も採食するが、昼間に比べると樹冠部に近い高い位置を利用していること、5)採食は樹上で行ない、林床には下りないこと、等が判明した。また餌内容の記録から、餌は果実と葉に依存しており、鳥類の卵や雛を食べる割合はごく低いことがわかった。つまり、ブラウンキツネザルはサンコウチョウの巣の主要な捕食者ではあるが、彼らにとって卵や雛は主要な餌ではなく、言わば副食のようなものであることが示唆された。もうひとつの対象鳥類、テトラカヒヨドリについても林内で巣を発見し、繁殖開始時期、産卵数、ビデオによる親の抱卵、育雛行動の記録を行なった。この結果テトラカヒヨドリは、1)1月後半から繁殖を開始していること、2)一腹卵数は1〜3卵であること、3)抱卵、育雛は全て雌が単独で行なうこと、が明らかになった。また採食行動の観察によって、テトラカヒヨドリは主に葉の裏側にいる節足動物や小型脊椎動物を食べていることがわかった。この特異な採食行動が、他種に例を見ない繁殖期の遅延の原因ではないかと推測された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mizuta T: "The development of plumage polymorphism in male Madagascar paradise flycatcher Terpsiphone mutata."African Journal of Ecology. 41. 124-130 (2003)
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[Publications] Mizuta T, Yamada H, Lin R-S, Yodogawa Y, Okanoya K: "Sexing White-rumped Munias in Taiwan, using morphology, DNA and distance calls."Ornithological Science. 2・2. 97-102 (2003)