2003 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク制御因子の細胞内分布に依存した神経機能の調節機能
Project/Area Number |
03J01938
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
伊藤 政之 東邦大学, 理学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | RGS / Gタンパク / 受容体 / プルキンエ細胞 / 小脳 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
これまでの我々の研究から、神経特異的な三量体Gタンパクの制御因子RGS8には2種の分子が存在し、それぞれが異なった受容体系を制御することが示唆されている。本研究ではRGS8とRGS8Sが別々の受容体系にリクルートされていると想定し、それぞれの結合タンパクの同定を目的とした。そのためにタグ付きのRGS8またはRGS8Sを発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、その組織から複合体をアフィニティー精製後、質量分析によって結合タンパクを同定する。本年度は小脳プルキンエ細胞特異的にタグ付きのRGS8またはRGS8Sを発現する2つのTgマウス系統を樹立することを目標とした。 初めに小脳のプルキンエ細胞特異的に外来遺伝子を発現させることが確立されているpL7ΔAUGベクターを海外から入手した。本研究ではRGS8には3×FLAGタグを、RGS8Sには3×HAタグをC末端に付加したcDNAを挿入し、これらのタンパクをプルキンエ細胞特異的に発現させるコンストラクトを構築した。次にこのコンストラクトをマイクロインジェクションによってマウス受精卵に導入し発生させた。生まれてきたマウスの尻尾からゲノムDNAを抽出しPCR法によって導入遺伝子の有無を確認した。RGS8の場合では50匹生まれ、その内の3匹が導入遺伝子を有していた。一方RGS8Sでは49匹生まれ、その内の4匹が陽性だった。現在、得られたこのファウンダーTgマウスと野生型からF1のマウスを採取中である。 RGS8-3×FLAGのTgマウスではすべての系統で導入遺伝子を有したF1マウスを採取できたため、そのタンパク分子の発現をウエスタンブロット法により解析した。抗FLAG抗体で検出すると3系統の内の1系統のみで発現が確認された。またさらにその発現を内在性のRGS8と比較するために抗RGS8抗体を用いた検討を行うと、導入遺伝子の発現は内在性のものと比べて10分の1以下であった。RGS8SのTgマウスでは一つの系統で導入遺伝子を有したF1マウスを採取できたが、その発現は確認できなかった。 Tgマウスで導入された遺伝子は一般的に系統間でゲノム上の様々な部位に存在し、その発現もまちまちである。今後、本研究の目的を満たすより高発現のTgマウスの作出を目指し、種々の条件の最適を検討していく。
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