2005 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク制御因子の細胞内分布に依存した神経機能の調節機構
Project/Area Number |
03J01938
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
伊藤 政之 東邦大学, 理学部, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | RGSタンパク / 三量体Gタンパク質 / Gタンパク質共役受容体 / アセチルコリン受容体 / 小脳プルキンエ細胞 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
神経特異的な三量体Gタンパクの制御因子RGS8には選択的スプライシングによって生じるN端部分の異なった2種の分子(RGS8とRGS8S)が存在し、それぞれが異なった受容体系を制御することが示唆されている。この受容体特異的なRGS8の情報伝達制御の分子機構を明らかにするため、相互作用が期待されるムスカリン受容体に注目し、実際にRGS8と相互作用するかどうか検討を行った。 まず初めに組み換えタンパクを用いてプルダウン実験を行った。結果、RGS8はM1受容体の第3細胞内(i3)ループと強く結合し、またM3受容体のそれとは弱く結合した。しかしM2受容体のi3ループとは結合しなかった。またRGS8SはRGS8と比較して結合能が弱かった。変異体解析を行うとRGS8のM1受容体結合サイトはN端9残基中に存在し、その中でも8番目と9番目のアルギニン残基が相互作用に重要であった。また、全長のM1受容体とRGS8の相互作用は生細胞中でも観察された。更に受容体結合能を減弱させたRGS8の点変異体はM1受容体からのシグナルを効率的に抑制することが出来なくなった。以上の結果からRGS8はそのN端部分で受容体の第3細胞内ループと直接結合することが明らかとなり、更にこのような相互作用がRGS8の受容体特異的なシグナル伝達制御の分子機構の実体であることが強く示唆された。 更に小脳プルキンエ細胞からRGS8を複合体として精製し、生体内でRGS8と相互作用する受容体系を見つけ出す目的で、L7プロモーターを用いてタグ付きのRGS8をプルキンエ細胞に発現するトランスジェニック(Tg)マウスの作製を試みてきた。しかし3年間を通して本研究の目的を満たすような高発現のTgマウスは作製出来なかった。今後、プロモーターの変更やBACを用いる方法、またはタグ付きRGS8を発現するノックインマウスの作製などのストラテジーの変更が必要であると考えられた。
|