2004 Fiscal Year Annual Research Report
性フェロモンの情報処理機構-ガ類近縁種における種特異性とその遺伝的背景
Project/Area Number |
03J01954
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
高梨 琢磨 独立行政法人森林総合研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 味覚受容細胞 / チップレコーディング / 寄主植物成分 / カプロン酸 / 種特異性 / 電気生理学 |
Research Abstract |
セイシェルショウジョウバエとその近縁種キイロショウジョウバエにおいて、セイシェルショウジョウバエの寄主植物(ヤエヤマアオキ果実)に含まれる誘引・産卵を促進するカプロン酸(炭素数6のカルボン酸)とその類縁化合物(炭素数2-8のカルボン酸とそのナトリウム塩)に対するニューロン応答性をチップレコーディング法により調べた。ふ節の味覚感覚子に含まれるニューロンは、両種で低濃度(100mM以下)のカプロン酸とそのナトリウム塩にはほとんど応答しないが、高濃度(500Mm以上)のカプロン酸とそのナトリウム塩に主に腹側の第4,5節にあるニューロンが応答した。背側と第2,3節にあるニューロンはカプロン酸とその類縁化合物に応答しなかった。第4,5節とその他のニューロンで酢酸やブチル酸に対して応答するものもあった。 カプロン酸応答性ニューロンは、キイロショウジョウバエにおいて1タイプのみであったが、セイシェルショウジョウバエではインパルスの大きさが違う2タイプが同じ感覚子内で観察された。酸、塩(塩化ナトリウム)、苦味物質(デナトニウム)との混合刺激実験により、両種に共通のニューロンは苦味受容細胞で、セイシェルショウジョウバエに特異的な応答は塩受容細胞であると考えられた。このことから、ショウジョウバエ両種において苦味受容細胞がカプロン酸を阻害物質として受容しているが、セイシェルショウジョウバエのみで塩受容細胞がカプロン酸を刺激(促進)物質として受容し、酸、塩、苦味物質を識別するメカニズムが両種で異なることが示唆された。
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Research Products
(1 results)