2004 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の含硫アミノ酸代謝とシステイン生産菌の分子育種
Project/Area Number |
03J01978
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
粟野 直樹 福井県立大学, 生物資源学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | システイン / cysteine / transporter / 大腸菌 / Escherichia coli / 排出 |
Research Abstract |
我々はシステイン発酵生産菌の分子育種を目的に、大腸菌を主たる材料にしてシステイン(Cys)の生合成系、分解系および排出系の研究を行っている。 本年度は、主に大腸菌のCys排出系を研究し成果を得た。 まず、Cys排出を損う大腸菌Cys transporterの探索を行った。過剰量のCysは大腸菌に生育阻害を引き起こす一種の薬物効果が知られている。また、大腸菌には多剤薬剤耐性を付与する薬剤排出膜タンパク質が32種類推定されている。これらの知見を結びつけ、薬剤排出膜タンパク質からCys transporter(s)の探索を行った。 高濃度Cys存在下の大腸菌で、32種類の薬剤排出膜タンパク質をそれぞれ過剰発現させ、生育阻害を受けない、もしくは生育阻害の程度が低いものを選択した。その結果、acrD, acrEF, bcr, cusA, emrAB, emrKY, ybjYZ, yojIHの各遺伝子産物を候補として選択することに成功した。また、その時の菌体内Cys含量を測定した結果、有意に菌体内Cys含量の低下が認められた。次に、8種類のCys transporter候補を過剰発現させて[^<35>S]-Cysの取込み活性と排出活性を測定し、菌体内Cysの動態を解析した。その結果、Bcr過剰発現株では、野生株と比較して取込み活性が低く、排出活性が高いことが示され、BcrがCys排出能を有することが示された。さらにBcrの他アミノ酸の排出能力を調べた結果、BcrはCysを特異的に排出する事が示唆された。 Cys transporter候補を過剰発現させCys過剰生産への効果を調べた。詳細は更に検討を要するが、Bcrの過剰発現により、ベクターのみ導入時と比較してシステイン生産量は約5倍増加した。また、他の候補Cys transporterの過剰発現によってもシステイン生産量の増加に効果が認められた。
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Research Products
(3 results)