2003 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の含硫アミノ酸代謝とシステイン生産菌の分子育種
Project/Area Number |
03J01978
|
Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
粟野 直樹 福井県立大学, 生物資源学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | システイン / cysteine / cysteine desulfhydrase / Eschrichiacoli / Corynebacterium glutamicum / serine acetyltransferase |
Research Abstract |
我々は、含硫アミノ酸の1つシステインに注目して、その代謝調節機構および発酵生産菌の分子育種を大腸菌とCorynebacterium glutamicumを用いてシステインの生合成系、分解系、排出系の3点から研究を行っている。 まず、大腸菌の分解系について成果を得た。システイン分解酵素cysteine desulfhydrase(CD)は、システインをピルビン酸、アンモニア、硫化水素に分解する酵素である。大腸菌のCDをCD活性染色法によって検出したところ、少なくとも5種類存在することが分かった。5種類のCDを精製後のアミノ末端配列の解析や奈良先端科学技術大学院大学の森教授より分譲を受けた大腸菌ゲノムライブラリーを用いて同定した。その結果、tnaA産物tryptophanase、metC産物cystathionine β-lyase、cysK産物O-acetylserinesulfhydrylase(OASS)A、cysM産物OASS-B、malY産物MalY調節タンパク質であった。これらの遺伝子破壊株を構築し、システイン生産量を調べた結果、遺伝子破壊株のシステイン生産量は、全て野生株の生産量を上回り、同定したCDがin vivoでシステイン分解に機能していること、分解系の弱化がシステイン生産に効果的であることを示した。 次に、C.glutamicumのシステイン生合成経路および分解系を明らかにした。C.glutamicumのシステイン生合成経路の酵素serine acetyltransferase(SAT)とOASSの遺伝子およびタンパク質を同定した。SATは、大腸菌のものと同様にシステインによるフィードバック阻害を受けたが、大腸菌SATより約100アミノ酸短い点、メチオニンによる発現抑制を受ける点で特徴的であった。また、OASSに関しては大腸菌のものと大きく異なる点はなかった。SAT遺伝子破壊株を構築し、栄養要求性を調べた。その結果、システイン要求性を示したことからC.glutamicumのシステイン生合成は、SAT-OASS経路のみであることがわかった。システイン分解系について、本菌のCDはaecD産物C-S lyaseのみであることを明らかにした。C.glutamicumのaecD破壊株を用いてシステイン生産培養を行い、本菌を用いたシステインの過剰生産に初めて成功した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Naoki Awano et al.: "Effect of cysteine desulfhydrase disruption on L-cysteine over production in Escherichia coli"Applied Microbiology and Biotechnology. 62. 239-243 (2003)
-
[Publications] Masaru Wada et al.: "Purification, characterization and identification of cysteine desulfhydrase of Corynebacterium gltamicum, and its relationship to cysteine production"FEMS Microbiology Letter. 217. 103-107 (2002)