2003 Fiscal Year Annual Research Report
腎疾患時における肝代謝型薬剤のバイオアベイラビリティ変動機構
Project/Area Number |
03J01981
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡部 裕美 富山医科薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 腎疾患 / 肝代謝型薬物 / 投与設計 / 肝代謝活性 / 小腸代謝活性 |
Research Abstract |
申請者はこれまで、シスプラチン誘発腎障害ラットを用いて、肝代謝型薬物であるタクロリムス及びプロプラノロールの体内動態変動を検討してきた。その過程において、CYP3Aサブファミリーの肝代謝活性低下は、CYP2Dサブファミリーの肝代謝活性低下に比べ大きいことを見出している。さらに、同じCYP3Aサブファミリーであっても、肝代謝活性変動は小腸代謝活性変動と異なること、すなわち、肝臓及び小腸を個別に評価するのみでは薬物のバイオアベイラビリティを正確に予想することは難しいことが示唆された。そこで申請者は、ラット肝マイクロソームの代謝活性変動及び小腸組織における代謝活性変動を系統的に評価した。すなわち、申請者は5/6部分腎摘出、グリセロール誘発腎障害モデル、両側尿管結紮及びシスプラチン誘発腎障害モデルという4種の腎疾患モデルラットを用いて、肝CYP2C,CYP2D,CYP3A及び小腸CYP3A活性を評価した。その結果、肝CYP3A活性は5/6部分腎摘出、グリセロール誘発腎障害モデルにおいて約60%もの顕著な低下を示した。これに対し小腸CYP3A活性はグリセロール誘発腎障害モデルにおいて軽度な上昇を示した。さらに肝CYP2C活性はシスプラチン誘発腎障害モデルにおいてのみ軽度な低下を示し、肝CYP2D活性は用いた全てのモデルにおいて変動は認められなかった。すなわち、腎疾患時における薬物代謝活性の変動は、P450分子種により異なること、病態により異なること、臓器によって異なることが明らかになった。本研究の結果、腎疾患時には肝薬物代謝活性が健常時の半分以下に低下する場合もあり、肝代謝型薬剤であっても腎疾患時には投与量調節が必要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Okabe, A.Mizukami, M.Taguchi, T.Aiba, M.Yasuhara, Y.Hashimoto: "The increased intestinal absorption rate is responsible for the reduced hepatic first-pass extraction of propranolol in rats with cisplatin-induced renal dysfunction"J.Pharm.Pharmacol. 54(4). 479-486 (2003)
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[Publications] H.Okabe, M.Hasunuma, Y.Hashimoto: "The hepatic and intestinal metabolic activities of P450 in rats with surgery- and drug-induced renal dysfunction"Pharm.Res.. 20(10). 1591-1594 (2003)