2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核におけるイノシトールリン脂質情報伝達系の制御機構と生理的意義の解明
Project/Area Number |
03J02037
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岡田 雅司 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | PLCδ1 / 核-細胞間輸送 / importin / カルシウム / 分裂溝 / PIP2 |
Research Abstract |
1.PLCδ1の核-細胞質間輸送機構の解明 前年度において、PLCδ1がin vitroでimportinβと電離カルシウム濃度が高いときに結合することを見いだしたが、そのカルシウム濃度は通常細胞内でのカルシウム濃度である0.1μMでも結合が見られ、dose-dependentに結合度合いが上がっていくことが見いだされた。PLCδ1内のカルシウム結合部位はC2ドメインと活性ドメインが知られているが、そのうち活性中心にあたる部位の変異体(E341A)ではimportinβとの結合は見られなくなった。C2ドメインの変異体(D653A,D706N)では影響なく結合が見られた。GFP-PLCδ1を恒常的に発現させたMDCK細胞および一過的に発現させたMDCK,HeLa,HepG2細胞においてionomycin処理を行うと、細胞膜および細胞質に局在していたGFP-PLCδ1は細胞膜から素早く解離し細胞質に移行した。その後30分ほど観察を行うと細胞核に蛍光の蓄積が見られた。このとき核は通常の楕円形から円形に縮んでいる様子が観察された。この蓄積が起こる10分ほど前に細胞を回収しimportinβ抗体で免疫沈降法を行うとコントロールに比べて結合が4倍ほどに増大していることが明らかとなった。またPLCδ1はセリン、スレオニンが細胞内では常時リン酸化していることがリン酸化抗体を用いた解析で明らかとなったが、イオノマイシン処理後、importinβとの結合が上がっているときにそのリン酸化PLCδ1の量が下がっていることが明らかとなった。セリンでは約半分、スレオニンでは1/5ほどであった。 2.細胞分裂機におけるPLCの局在について 細胞周期依存的にPLCδ1が核局在を示す可能性を考察するために関西先端研究センターの平岡泰教授、原口徳子教授のもとでGFP-PLCδ1の一細胞周期間ライブ観察を行った結果、核蓄積は観察されなかったが、分裂機において分裂溝に局在することを見いだした。その後さらにPLCβ1,PLCδ3が局在すること、PLCβ2,3,γ1は局在しないことが明らかとなった。分裂溝にはPIP2が蓄積していることが報告されているが、PIP2に選択的に結合するPLCδ1のPHドメインのみでも分裂溝に局在することも明らかとなった。
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Research Products
(1 results)