2003 Fiscal Year Annual Research Report
「サケ神話」の脱構築―クワクワカワクゥ社会におけるサケの位置づけとその特権化
Project/Area Number |
03J02045
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
立川 陽仁 国立民族学博物館, 先端民俗学研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | カナダ先住民 / クワクワカワクゥ / サケ資源 / サケの管理 / サケ漁の技術 / サケ養殖業 |
Research Abstract |
本年度はクワクワカワクゥの日常生活の領域におけるサケの社会・経済的意義を分析し、それによってサケに関する言説の「神話化」された状況を明るみに出すことを具体的な目標とした。 2003年10月に現地調査に行くまでの期間には、以前おこなった調査(2000年自費により実施)で得たデータをもとに、次の6点について研究と分析をすすめた。それらの論点とは、1.先住民にとってのサケの重要性に関する言説の意味、2.漁師によるサケの管理、3.サケ漁の技術的問題、4.サケ養殖業が漁業に及ぼす影響、5.サケが集合的に消費されるポトラッチという儀式の現代的意味、6.漁業の経済的役割である。これらの成果は、それぞれ1'「先住民とサケの語り」、2'「海上におけるサケの管理」、3'「カナダ太平洋沿岸のサケ漁」、4'「クワクワカワクゥ漁師と養殖業」、5'「<意味>と<型>」、6'「カナダ・北西海岸先住民社会における漁業の経済的位置づけ」として発表した(1'、4'、6'は口頭発表、2'、3'、5'は論考)。 また、2003年10月から12月にかけてはクワクワカワクゥの生活圏であるバンクーバー島北東部において現地調査をおこなった。この調査では、秋のシロザケ漁に同行し、多くサケをとるための戦略、その知識や技能の学習方法についてのデータを収集した。サケ漁シーズンが終了してからは、養殖場労働に従事するクワクワカワクゥとともに養殖場で参与観察調査を実施した。その結果、2000年の調査時以降に起こった大きな変化について調査をすることができた。また、2つの市町村においてそこに住むクワクワカワクゥたちにサケの消費、管理、養殖業の漁業に対する影響などに関して聞き取り調査をおこなった。 帰国後はこれまでに現地調査で得たデータに基づいて、クワクワカワクゥの日常生活の領域におけるサケの社会・経済的意義を総合的に研究し、サケに関する諸言説が神話化されている可能性を提示する論文の作成を行った。この論文は現在投稿中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 立川 陽仁: "海上におけるサケの管理-カナダ、北西海岸のサケ漁業漁師に見られる実践と認識"海洋資源の利用と管理に関する人類学的研究(国立民族学博物館調査報告). 46. 161-178 (2003)
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[Publications] 立川 陽仁: "カナダ太平洋沿岸のサケ漁"アークティック・サークル. 48. 14-17 (2003)
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[Publications] 立川 陽仁: "<意味>と<型>-ポトラッチをめぐるクワクワカワクゥ内外の視点"世界の宴会. 174-183 (2004)