2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J02050
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 武男 名古屋大学, 環境学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 非弾性構造 / 不均質構造 / 広域的地殻変動 / 粘弾性緩和 / 地下水の移動 / インバージョン / 上部マントル / 歪み集中帯 |
Research Abstract |
非弾性・不均質構造を用いた広域的地殻変動の解明するための基礎的な解析プログラムを作成した.まずは土質力学等で使われている弾塑性水連成問題を解くことが可能な有限要素プログラムを地震の影響も計算が可能になるようにプログラムの解読と大幅なプログラムの仕様の変更を行った.この改良により,地震発生に伴って起こる地下水の移動を計算することが可能になった.この解析方法により,弾塑性変形と断層近傍の構造的な不均質を考慮することにより,広域的応力によって引き起こされる,断層帯の圧縮や,歪み集中帯を再現することが可能になることが予想され,広域的な地殻変動を解明する手がかりになることが可能であろう.地震の発生後に観測される余効変動のほとんどは地震後の断層面深部でのすべりとマントル上部における粘弾性緩和に起因すると解釈が多いが,この解析方法で計算した結果,地下水の移動に伴う地殻変動も同程度の大きさになるため,無視できないことがわかった. 次に余効変動を解明することにより,地殻・上部マントルの情報を引き出すことが可能になり,広域的地殻変動の解明の基礎となる情報になる.そこで,1993年北海道南西沖地震で観測された,地震時と地震後の地殻変動データを用いて余効変動のモデルを構築した.特に新しい解析手法として,合成開口レーダの地殻変動データを取り入れることの可能な粘弾性インバージョン解析プログラムを行った.In-SARの地殻変動は膨大な情報量があり,そこから有効な情報を引き出す工夫が必要である.過去の研究では,主にフォーワードモデリングが主であり,地震後の断層深部でのすべりによる余効変動と上部マントルの粘弾性的応答による余効変動を分離することが出来なかったが,本解析方法によって出来ると思われる.現在,In-SARデータを用いた粘弾性インバージョン解析プログラムを開発中である.
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Research Products
(1 results)