Research Abstract |
我々は先に共役リノレン酸(CLN)の1つであるα-エレオステアリン酸(cis(c)9,trans(t)11,t13-18:3)を約60%含むニガウリ種子油、プニカ酸(c9,t11,c13-18:3)を約75%含有するザクロ種子油、ならびに共役リノール酸(CLA)による大腸発がん抑制効果について報告した(Int.J.Cancer,110:896-901,2004,Cancer Sci.,95:481-486,2004)。本年度はCLNの1つであるカタルピン酸(t9,t11,c13-18:3)を約40%含有するキササゲ種子油(CPO)による大腸前がん病変(aberrant crypt foci ; ACF)修飾効果について検討を行った。さらに作用機構の解明のため、様々な分子生物学的な解析も試みた。 5週齢の雄性F344ラットをAOM(20mg/kg体重を週1回、計2回、皮下注射)群、AOM+CPO群(0.01%,0.1%,1%)、1%CPO群、無処置群の6群に分けた。CPOはAOM投与の1週前より実験終了時(4週)まで混餌投与した。その結果、ACFの発生個数はAOM+CPO群(AOM+0.01%CPO,32±11,P<0.001;AOM+0.1%CPO,35±18,P<0.001;AOM+1%CPO,18±10,P<0.001)においてAOM群(99±28)と比べ有意な低下を認めた。またCPOによる大腸前がん病変抑制効果の作用機構には、大腸粘膜ならびに肝臓脂質中で蓄積が認められたCLA、CPO投与により減少が確認された大腸粘膜のCOX-2 mRNAの発現および血清中の中性脂肪含量、さらにCPO投与により低下した細胞増殖能や増大したアポトーシス能などの関与が示唆された。
|