2005 Fiscal Year Annual Research Report
スピノザとホッブズの自然主義的人間理解における認識、感情、倫理、及び知への欲求
Project/Area Number |
03J02059
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Research Institution | Toyo University |
Research Fellow |
木島 泰三 東洋大学, 文学部, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | スピノザ / ホッブズ / シェリング / 自然主義 / 決定論 / 自由 / 感情 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続きスピノザの人間精神論の体系上の特異性を現代の「心の哲学」との比較において明らかにする研究を続けると共に、博士論文の完成を視野に入れ、スピノザとホッブズの「自然主義」の全体像の把握とその提示に努めた。 前者の主題に関しては、昨年度の学会発表「スピノザの心身論再考」を四十枚ほどの論文として『スピノザーナ-スピノザ協会年報』に投稿したが、発表で扱った広範な内容を絞りきれなかったせいもあり審査で不採用となってしまった。但し、同論文は適宜修正して博士論文の一部を構成するはずである。 後者の主題に関しては、第一に、日本シェリング協会とスピノザ協会の共同企画である「クロス討論・シェリングとスピノザ」(日本シェリング協会第14回大会、岡山大学、2005年7月9日、にて)を一つの好機として「シェリング『人間的自由の本質について』におけるスピノザ論とスピノザの自由論」と題した口頭発表としてまとめた。シェリングの観念論的人間観の立場からのスピノザ批判の検討を通じ、特に「自由と決定論」の問題に関する両者の差異あるいはすれ違いを明らかにし、その中で、スピノザの自然主義的な人間観の輪郭を提示した。また第二に、『自然と人間-哲学からのアプローチ』という書物の「ホッブズとスピノザにおける自然と人間-科学革命と自然主義の哲学」と題する章において、三十枚程度で自然主義者としての両哲学者の思想の全体像を素描した。これらの作業は博士論文のいわば骨格をなす論考と内容的に重なるものである。 博士論文に関しては上記応募論文の修正等の作業により予定より遅延してしまったが、継続して執筆中である。
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Research Products
(2 results)